【1月25日 AFP】米アカデミー賞(Academy Awards)を主催する映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and SciencesAMPAS)は24日、第84回アカデミー賞のノミネート結果を発表した。

 最多11部門でのノミネートとなったのは、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督の『ヒューゴの不思議な発明(Hugo)』。賞レースをリードしアカデミー賞でも有力候補となっている話題の無声映画『アーティスト(The Artist)』は10部門にノミネートされた。

 主演女優賞では、予想通り『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(The Iron Lady)』のメリル・ストリープ(Meryl Streep)が17回目のノミネートを果たした。

 主演男優賞には、ジョージ・クルーニー(George Clooney)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)らがノミネートされている。

『ヒューゴ』は1930年代のパリ(paris)を舞台にした鮮やかな映像美の作品で、駅の時計台に住み時計作りや映画創生期の製作者ジョルジュ・メリエス(Georges Melies)に魅了された少年が繰り広げる冒険を描いている。この少年を演じるのは、子役エイサ・バターフィールド(Asa Butterfield)。その脇をメリエス役のベン・キングズレー(Ben Kingsley)、駅員役のサシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen)らが固めている。

 スコセッシ監督は「非常に光栄だ」と述べ、同作品にまつわる挑戦について冗談を言った。

「すべての作品が挑戦だが、3DとHDで撮り、初めてサシャ・バロン・コーエンと仕事をしたこの作品は、間違いなく挑戦だった」

 10部門にノミネートされた『アーティスト』の製作チームも「純粋な幸せ」を感じるとのコメントを出した。

「とても低いところからスタートして、こんなに高いところまで上るのは、単純ではない。当初、耳が聞こえず頭も悪いハンディキャップを抱えた醜いアヒルの子のように思われていた作品にとっては、まるでおとぎ話だ」同作品のミシェル・アザナヴィシウス(Michel Hazanavicius)監督は、こう述べた。

 授賞式は2月26日、ハリウッド(Hollywood)のコダックシアター(Kodak Theatre)で開催される。

 主要部門のノミネートは以下のとおり。

<作品賞>
-『アーティスト』
-『ファミリー・ツリー(The Descendants)』
-『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(Extremely Loud & Incredibly Close)』
-『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~(The Help)』
-『ヒューゴの不思議な発明』
-『ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)』
-『マネーボール(Moneyball)』
-『ツリー・オブ・ライフ(The Tree of Life)』
-『戦火の馬(War Horse)』

<主演男優賞>
- デミアン・ビチル(Demian Bichir)-- 『明日を継ぐために(A Better Life)』
- ジョージ・クルーニー--『ファミリー・ツリー』
- ジャン・デュジャルダン(Jean Dujardin)-- 『アーティスト』
- ゲイリー・オールドマン(Gary Oldman)--『裏切りのサーカス(Tinker Tailor Soldier Spy)』
- ブラッド・ピット--『マネーボール』

<助演男優賞>
- ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)--『マリリン 7日間の恋(My Week with Marilyn)』
- ジョナ・ヒル(Jonah Hill)--『マネーボール』
- ニック・ノルティ(Nick Nolte)--『Warrior
- クリストファー・プラマー(Christopher Plummer)--『人生はビギナーズ(Beginners)』
- マックス・フォン・シドー(Max von Sydow)--『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

<主演女優賞>
- グレン・クローズ(Glenn Close)--『アルバート・ノッブス(Albert Nobbs)』
- ヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)--『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』
- ルーニー・マーラ(Rooney Mara)--『ドラゴン・タトゥーの女(The Girl With the Dragon Tattoo)』
- メリル・ストリープ--『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
- ミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)--『マリリン 7日間の恋』

<助演女優賞>
- ベレニス・ベジョ(Berenice Bejo)--『アーティスト』
- ジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)--『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』
- メリッサ・マッカーシー(Melissa McCarthy)--『ブライズメイズ(原題、Bridesmaids)』
- ジャネット・マクティア(Janet McTeer)--『アルバート・ノッブス』
- オクタヴィア・スペンサー(Octavia Spencer)--『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

<監督賞>
- ミシェル・アザナヴィシウス--『アーティスト』
- アレクサンダー・ペイン(Alexander Payne)--『ファミリー・ツリー』
- マーティン・スコセッシ--『ヒューゴの不思議な発明』
- ウディ・アレン(Woody Allen)--『ミッドナイト・イン・パリ』
- テレンス・マリック(Terrence Malick)--『ツリー・オブ・ライフ』

<アニメーション賞>
- 『A Cat in Paris
- 『Chico & Rita
- 『カンフー・パンダ2(Kung Fu Panda 2)』
- 『長ぐつをはいたネコ(Puss in Boots)』
- 『ランゴ(Rango)』

<外国語映画賞>
- 『Bullhead』(ベルギー)
- 『Footnote』(イスラエル)
- 『In Darkness』(ポーランド)
- 『Monsieur Lazhar』(カナダ)
- 『別離(A Separation)』(イラン)

<脚色賞>
- 『ファミリー・ツリー』
- 『ヒューゴの不思議な発明』
- 『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』
- 『マネーボール』
- 『裏切りのサーカス』

<脚本賞>
- 『アーティスト』
- 『ブライズメイズ』
- 『マージン・コール(Margin Call)』
- 『ミッドナイト・イン・パリ』
- 『別離』

<作曲賞>
- 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密(The Adventures of Tintin)』
- 『アーティスト』
- 『ヒューゴの不思議な発明』
- 『裏切りのサーカス』
- 『戦火の馬』

<ドキュメンタリー長編賞>
- 『Hell and Back Again
- 『If a Tree Falls: A Story of the Earth Liberation Front
- 『Paradise Lost 3: Purgatory
- 『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち(Pina)』
- 『Undefeated

(c)AFP/Michael Thurston