【3月14日 MODE PRESS】2000年に米カリフォルニアで設立された乳がんに関する啓蒙活動を行うNPO法人「キープ ア ブレスト(Keep A Breast、KAB)」が今年、日本に上陸する。乳がん関連団体の多くが羅患者の多い40代以上をメインターゲットにしているのに対し、KABは20代~30代の若者に向け、アートやファッションを通じより身近なものとして啓蒙活動を展開している。5月に開催予定の上陸イベントに先駆け来日したKAB創設者のひとり、シェイニー・ジョー・ダーデン(Shaney jo Darden)に実際の取り組みや今後の日本展開について話を聞いた。

-20代~30代に向けた活動を展開する団体は珍しいのでは?

 確かに、同様の団体は日本に限らず世界的に40代以上に向けた活動が中心ですが、KABは20代~30代に訴求する独自の団体です。乳がんを患う若者の数は年々増加しており、若い世代に正しい知識を持ってもらう必要性が増しています。この病気は、遺伝的要因はわずか5~10%程で90%以上が外的・環境的な要因です。しかし遺伝性だという認識が強く、「家系に患者がいないから関係ない」という考えで対策をしない人がとても多い。このような間違った認識を防ぐため、正しい情報を伝えるためにあらゆる活動をしています。

-他団体との活動の違いは何ですか?

 他団体と違ってKABはまだ検診を必要としていない若い人々に対し、“Prevention is the cure=予防に勝る治療はなし”をコンセプトにした教育を行なっています。将来の乳がん発病リスクを下げるため、自分の体を知り、健康的な食生活や適度の運動を行い、触診を取り入れることなどの重要性を発信しています。また、乳がんの環境的要因をテーマに研究するリーサーチ団体へ寄付を行っており、なんらかの関連性が発見できれば政府にその改善を呼びかけていく予定です。

-具体的にどのように情報発信・教育をされているのですか?

 私たちは、若い人々が既に興味を持っているミュージックやアート、ファッションなどを切り口にアプローチしています。ロックフェスに出展したり、若者が尊敬するアーティストに情報を伝えてもらうことで、「健康=クール」というメッセージを発信しています。乳がんの情報マガジンも15万部ほど発行していますが、それも堅苦しいものではなく若い世代が読みやすいスタイリッシュなものです。バングルやウェアなどKABグッズも発売し、商品やパッケージに乳がんに関する情報を記載しています。すべて、若い人々が受け入れやすいコミュニケーション方法をとっています。

-KABの乳がん啓発ツールのひとつである“ブレスト・キャスト”とは?

 ブレスト・キャストは、胸型にアートを施した作品です。メキシコ人アーティストのフリーダ・カーロ(Frida Kahlo)が美しい絵を描いたコルセットをしていた写真がインスピレーション源です。自分の友人が乳がんにかかり“乳がんへの認識を高めたい”と思ったときに、乳がんとアートを結びつけること考えつきました。

 胸型をとるのは、乳がんの患者、活動への賛同者、セレブリティなど様々です。これまでに、歌手のケイティ・ペリー(Katy Perry)をはじめ、女優、モデル、アスリートなど多くのセレブも協力してくれています。そこに施すアートは、元モデルでいまはNYなど3都市にギャラリーを持つキュレーターのヤシャ・ヤング(Yasha Young)が選んだプロのアーティストが手がけています。これまで15人ほどの日本人アーティストも参加しています。

 完成したブレスト・キャストを集めて展覧会を行い、オークションなどで販売し、そこで得た資金を団体の活動にあてています。

-今後の日本での展開について教えてください。

 まず5月に日本上陸イベント「TOKYO LOVE SHOW」を行います。世界中から集めたブレスト・キャスト70点以上の展示を行い、KABの活動について紹介します。同じく5月にサーフイベント「GreenRoom」に、夏には「フジロックフェスティバル」にブースを出展する予定です。10月にはペニンシュラホテルでガラパーティも行なう予定ですし、年内にポップアップショップのオープンも予定しています。今後さらに幅広い活動を日本でしていく予定です。(c)MODE PRESS

【関連情報】
キープ ア ブレスト 公式サイト(英語)