■「私たちは闘い続ける」

 貧困地域での生活を困難にしているのは経済の混乱だけではない。敵対する麻薬カルテル間の衝突も、住民たちの生活を危険にさらしている。2013年には、銃の流れ弾が当たってケビン・ベネガさん(当時9歳)が命を落とした。

 ケビンさんの母親、ロクサナさんは、「私たちは、安全な暮らしのために闘い続けている。でも、その道のりはまだ長い」「より良い未来を手にすることができるかどうかはわからない。でもそうなることを望んでいる」とAFPの取材に語った。

 貧困は、犯罪や麻薬を磁石のように引き寄せる。警察も関わってくる。最近では、若者たちを拷問したとして、ビジャ・サバレタの警察官3人が有罪となったばかりだ。

 フィデル・ルイズさん(23)は、「ここでの暮らしはとても困難で、暴力にも満ちている。金銭関連の暴力、警察による暴力、政治的暴力など、その多く耐えなければならない。ここには国の関与がないため、自分たちで何とかするしかない」と話し、最近では、パートタイムの仕事でさえ見つけることが困難になってきていることを嘆いた。

 ビジャ・サバレタは、1968年に仮設の街として建設された。だが50年経った今も存在し続けている。生活は、苦しくなるばかりだ。「わずか数か月のうちに、ガスボンベが95ペソ(約280円)から270ペソ(約800円)に値上がりした。どうやって暮らせばいいのか?」と、ロクサナさんは力なく訴えた。

 ビジャ・サバレタの中心部エルネスト・チェ・ゲバラ通り(Ernesto Che Guevara Street)にある自宅の一角で、広さ2平方メートルの小さな商店を経営しているアメリア・コルバランさん(42)は、AFPの取材に「生活必需品以外は、もうあまり売れない」「誰もお金を持っていない。ヨーグルトを買う人すらいなくなった」と厳しい現状について説明した。(c)AFP/Alexandre PEYRILLE