■帝国市民はネオナチか?

 帝国市民運動の特徴は極右思想や歴史修正主義に加え、エスノナショナリズム(民族国家主義)的なイデオロギーが取り沙汰されることも多い。非合法のネオナチ組織と直接的なつながりが把握されている団体もあり、連邦・州政府の情報機関による監視対象となっている。

 首都ベルリン(Berlin)の治安当局は、「陰謀論や反ユダヤ・反民主主義思想が入り混じったイデオロギー」に追従する運動と表現。ある反ファシズム団体は、「強硬な極右思想と反人道主義的イデオロギー」を根底に持っている以上、泡沫(ほうまつ)視するのは危険と警鐘を鳴らしている。

■規模は?

 帝国市民運動の規模は、似通った思想を持つ米国の組織とのつながりが認められた1980年代ごろから、数百人程度と推定されてきた。しかしインターネット時代になってメンバーは飛躍的に増え、特にここ数年の増加が著しいという。

 独情報機関、連邦憲法擁護庁(BfV)のハンス・ゲオルク・マーセン(Hans-Georg Maassen)長官が先週DPA通信に語ったところによると、現在「帝国市民運動に絡む」活動家や支持者の数は1万人前後に上るとみられ、うち500~600人は極右過激派として知られているという。

 把握されている支持者の大半が中年の白人男性で、メンバーは全国各地にいるが、特に目立つ事件は東部の旧共産圏や、南部バイエルン(Bavaria)州で報告されている。

■どの程度危険なのか?

 マーセン長官の話では、BfVはこの運動の「暴力的な傾向が顕著で、攻撃性を増している」点を懸念しているという。

 昨年8月には東部ザクセン・アンハルト(Saxony-Anhalt)州で41歳のメンバーが、立ち退き命令執行のために自宅へやって来た警察に向かって発砲し、警察官3人が軽傷、撃った本人が重傷を負う事件が発生。

 また同10月にはバイエルン州で別のメンバーが、狩猟用の武器を押収するため強制捜査に入った警察に向かって発砲し、警察官1人が死亡、3人が負傷した。

 この事件を受けて一部の州の警察が、内部に運動への関与者や支持者がいないかどうか摘発に踏み切ったことも明らかになっている。(c)AFP/Frank ZELLER