【三里河中国経済観察】民営企業が共同富裕に向けた取り組みを強化
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【12月9日 CNS】民営企業は、どのように共同富裕(格差縮小と豊かさの共有)に貢献できるのだろうか。
11月26日、北京市で中国光彩事業促進会の第7回会員代表大会が開催された。光彩事業(民営企業が中心となって進めてきた貧困支援や地域振興の公益活動を指す)は、1990年代から続く取り組みで、2025年に創設30周年を迎える。今回の大会は、光彩事業が新たな出発点に立つ節目となった。光彩事業は30年以上前、10名の民営企業家が全国工商連の会議で「企業として貧困地域を支援しよう」と呼びかけたことをきっかけに始まった。以来、この活動は民営企業が成長から成熟へと歩んでいく歴史と重なり、公益参加の変化を映すだけでなく、中国の経済発展や国家運営の転換を理解するための象徴的な存在ともなってきた。
当初は国家の貧困撲滅政策(八七扶貧攻堅計画)に合わせて貧困支援を進めたが、現在では重点を農村振興と脱貧支援の継続に移している。光彩事業は常に国家戦略と足並みをそろえてきた。
特徴的なのは、民営企業や企業家が主体となり、産業、技術、市場といった民間の強みを、貧困地域の自立的な発展力へと変えてきた点である。「万企興万村(1万社が1万の村を支援する取り組み)」はその代表例で、これまでに23万5000社以上の民営企業が16万を超える村を支援し、投資額は1兆2100億元(約26兆5323億円)、寄付額は564億元(約1兆2367億円)に達している。
光彩事業30周年の節目に開かれた今回の大会では、「光彩事業が統一戦線(中国政治における多様な層をまとめる枠組み)において果たす役割を十分に理解し、中国の制度の強みを示し、都市と農村の均衡発展を進め、民営経済の健全な発展を支える重要な取り組みとして責任と使命感をさらに強めるべきだ」というメッセージが示された。
光彩事業は、民営企業が国家の地域戦略に合わせて産業配置と投資を進めるよう促し、東部から中西部への産業移転や、発達地域と後発地域の連携、サプライチェーンの共同発展を通じて、地域間で資源が循環し補い合う仕組みをつくってきた。それにより、地域格差や都市と農村の差を縮小するための重要なエネルギーが生まれている。
中央統戦部は2021年に「新時代の光彩事業を推進するための意見」を発表し、産業による牽引と公益支援を両立させ、民間の資源を後発地域に重点的に投入することで、地域間の格差是正に寄与するよう提案した。
2024年10月には光彩事業30周年の記念会が北京で開かれ、中国式現代化の推進において光彩事業の役割をさらに強めるべきだと強調された。2025年3月には中央統戦部と全国工商連が「光彩事業の高品質発展改革行動計画(2025—2035年)」を共同で発表し、新しい時代に向けた制度づくりが一段と進められた。
これらの動きは、光彩事業が向かう方向を明確に示すものとなった。共同富裕と高品質な発展を目指す過程において、光彩事業は地域格差を縮小するだけでなく、「効率と公平を両立させる発展モデル」という中国独自の課題にも挑んでいく必要がある。
「第15次五か年計画(十五五)」計画の目標に向け、民営企業の力は、より大きな国家発展の流れの中に深く組み込まれていくことになるだろう。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News