【12月12日 東方新報】米国時間12月1日、米国の大型オンラインセール「サイバーマンデー」が始まった。世界中の事業者が数か月前から準備する一大イベントであり、その供給源として今年も中国企業が重要な役割を担っている。第三者データによれば、2024年11月末時点でアマゾン(Amazon.com)のグローバル販売者の半数以上が中国企業に達したという。

「サイバーマンデー」は米国小売業の節目であると同時に、中国の外貿構造や越境ECの競争力を測る指標でもある。中国城市発展研究院の袁帥(Yuan Shuai)投資部副主任は、同期間は海外注文が集中し、サプライチェーンの反応速度や越境履約能力が企業の勝敗を左右すると指摘する。需要に合った商品を安定供給できるほど、国際消費チェーンでの存在感は強まる。

近年の海外ショッピングシーズンは、単なる「価格競争」から「事前準備力」の勝負へと変化しつつある。消費者は低価格だけでなく、品質や個性、環境配慮を重視するようになり、中国企業も研究開発を強化し、ターゲット層に合わせた新しい電子機器や家電を早めに投入している。また、極端な低価格路線ではなく、製品の位置づけに応じた中・高価格帯も重視されるようになった。

袁帥氏は、中国企業が強化すべきはサプライチェーンの「前倒し対応」だと語る。デジタル化や生産の最適化により、需要変化に早めに備え、在庫や出荷の余裕を確保することで、大量注文に対して安定した供給を維持できるという。

一方、中国企業の役割は「ただ輸出する」段階を越え、サプライチェーン全体へ深く入り込んでいる。プラットフォーム上ではデータ分析による在庫計画、倉庫ごとの在庫配分、消費傾向に合わせた割引設定など独自の運用が確立され、サプライチェーン側では海外倉庫や現地カスタマーサービスの拡充により配送効率と利用体験を高めている。蘇商銀行の付一夫(Fu Yifu)氏は、中国企業が決済、履行、アフターサービス、現地マーケティングまで網羅し、国際チェーンでの交渉力とリスク耐性を高めていると評価する。

越境ECは中国の外貿構造にも「逆流効果」をもたらしている。海外で売れた商品や組合せが国内市場に逆輸入され、ライブコマースなどを通じて再販売されるケースが増えている。これにより「1つのサプライチェーンで2つの市場を運営する」効率的な仕組みが生まれている。

今後、米国のオンライン購買習慣はさらに定着し、サイバーマンデーは期間が伸び、割引手法も細分化するとみられる。中国企業にとってはチャンスであると同時に、高度な需要予測やユーザー運用が求められる厳しい競争環境でもある。

袁帥氏は、中国企業が今後さらに成長するためには、サプライチェーンの強靭性、コスト管理と価格戦略、市場の多元化が重要だと述べる。供給網の最適化や複数市場の開拓、文化や習慣に合わせた製品投入によって競争力を高め、持続的な発展を実現できると指摘している。(c)東方新報/AFPBB News