ピザハット中国事業が加速:店舗数が4000店を突破
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【12月2日 東方新報】ピザハット(Pizza Hut)中国は、4000店舗目となる「三亜湾壹号店」を海南省(Hainan)三亜市(Sanya)に開業した。新店舗では、具材を生地に自動で配置する投料機や、スタッフの勤務状況を管理するAIシステム「Q睿」など、運営効率化を目的とした設備が導入されている。開業初日の11月22日には、多くの来店客が店舗を訪れた。
外食産業では、人件費の上昇や人材確保の難しさなどを背景に、自動化やデジタル管理の導入が進んでいる。必勝客中国もその流れに沿い、バックヤードには自動フライヤーや自動ドリンクマシン、食洗システムを設置し、生産性向上や作業標準化を図っている。企業側は、自動投料機の活用により品質の均一化やピーク時の作業負担軽減が期待できるとしている。ただし、こうした設備には初期投資や維持コストが発生するため、今後どの程度普及が進むかは業界全体の動向にも左右される。
AIシステム「Q睿」は、スタッフの出勤状況をリアルタイムで把握し、急な欠勤時には代替要員へ自動連絡する機能を備える。また、提供状況を監視し、遅延が見込まれる場合には事前に店舗側へ通知する仕組みだ。企業によると、サービス品質の維持やクレームの未然防止につながる可能性があるという。一方で、デジタル化の進展に伴い、現場スタッフの新たな習熟が求められる点なども課題として残る。
ピザハット中国は、ここ数年で出店ペースを高めており、3000店舗から4000店舗への拡大は約2年間で達成された。外食大手のヤム・チャイナ(Yum China)が発表した2025年第3四半期決算によれば、ピザハットの既存店取引量は前年同期比17%増で、11四半期連続の増加となった。ただし、外食市場全体は競争が激しさを増しており、ローカルブランドの台頭や物価上昇など、事業環境の不確実性も高い。
店舗拡大は北京市・上海市・広州市(Guangzhou)・深セン市(Shenzhen)などの大都市にとどまらず、地方中小都市(下沈市場)にも広がっている。下沈市場向けに開発された「WOW店」モデルでは、低価格メニューの導入によって価格面のハードルを下げつつ、運営コストの抑制を図っている。2025年第3四半期までに250店舗が開業し、未進出の40都市以上へも展開が進んだ。
デジタル会員制度も事業を支える要素となっており、会員数は2億人を超えた。デリバリー事業は依然として主力の収益源の一つで、企業側は売上構成比が拡大していると説明する。ただし、オンライン飲食市場も競争が激しく、各社が割引や新商品の投入を強化する中で、利益率の確保が今後の課題となる可能性がある。
全国的には、インフラ整備の進展や消費市場の拡大を背景に、外食チェーンが地方都市へ展開しやすい環境が整い始めている。ピザハット中国は、今後も品質維持を前提としながら出店ペースを速め、今後3年間で毎年600店舗以上を新たに開設し、2028年には店舗数6000店を目指す計画だ。ヤム・チャイナの蒯俊(Jeff Kuai)ゼネラルマネージャーは投資家会議で、2029年までにブランド全体の利益を2024年比で2倍とする目標を示した。(c)東方新報/AFPBB News