【10月12日  People’s Daily】通信業界では今年を「6G標準化元年」と呼んでいる。2029年までに6G標準の策定を完了し、30年前後に試験的商用化を実現させるとしている。

5Gは、超大帯域・超高速通信、低遅延・高信頼性、超大規模接続という優れた性能で、人びとに快適な通信体験をもたらした。そして将来は、6Gによって、さらに飛躍的な通信性能の向上が実現するといわれている。

例えば、伝送速度では、6Gは100Gbps(ギガビット毎秒)以上の速度を実現する見込みだ。また、6Gの遅延は1ミリ秒(0.001秒)未満であり、これは工場内の機械連携や遠隔設備制御など、リアルタイム性が極めて重要なアプリケーションにとって不可欠である。接続数では、6Gはさらに広範なデバイス接続をサポートし、特により複雑なIoTデバイス、スマート端末、人体センサーに対応可能で、真の「万物智連(万物を知能でつなぐ)」を実現する。

また6Gの強みは、通信だけにとどまらない。その特徴は『三つの一体化』:「通信と感知の一体化」「空天地の一体化」「通信と知能の一体化」と理解することができる。「通信と感知の一体化」とは、6Gの通信信号が情報を伝送すると同時に環境を感知できることを指す。「空天地の一体化」とは、空中、地上、地下、水中の通信リソースを統合し、広範囲にカバーする通信ネットワークを形成することを指す。「通信と知能の一体化」とは、6Gが通信機能と計算機能の融合を実現することを指す。

端的に言えば、6Gは将来的には、従来の移動通信ネットワークにとどまらず、新世代の移動情報ネットワークとなることが期待されているということだ。

現在、中国の6G研究開発レベルは全体的に世界のトップクラスに位置している。統計によると、24年6月現在、中国の6G特許出願数は引き続き世界のトップクラスを維持している。

基礎的・先駆的な探求で見ると、従来の通信システムでは、遅延、信頼性、データ速度という「三大指標」を同時に最適化することはできず、これは無線通信分野の「不可能な三角形」問題と呼ばれている。

江蘇省(Jiangsu)と南京市(Nanjing)が共同で設立した科学技術イノベーション・プラットフォーム「紫金山実験室」が提唱した「時空間二次元チャネル符号化」理論は、一連のイノベーションを通じて、この問題を解決する新たな思考の道筋(アプローチ)を提供し、6Gの超高信頼性と超低通信遅延を支えている。

プロセス技術の革新を見ると、昨年7月、中国工程院院士の張平(Zhang Ping)氏は、6G通信と知能融合に向けた世界初の野外試験ネットワークの構築に成功し、正式に公開した。人工知能(AI)と通信技術の融合において、また重要な一歩となった。

「中国移動チャイナモバイル、China Mobile)」は「中関村連移動通信技術創新応用研究院」と共同で、クラウドネイティブベースの6Gプロトタイプシステムの開発に成功し、単一ユーザーで8Gbps超えの速度を実現した。10サイト規模の6G試験ネットワークを構築し、10以上の6G新技術検証をサポートが可能となった。

また昨年2月には、中国は世界初の「6Gアーキテクチャ検証衛星」を打ち上げた。

現在、人工知能、ロボット、低空経済などの新業態が急速に発展しており、製造業の「スマート製造」へのアップグレードには多くの需要と課題がある。これらは全て6Gの発展に条件を提供している。

そして、感知、計算、ビッグデータ、人工知能などの能力を備えた6Gは、より多くの応用シナリオを解き放ち、デジタル化と知能化をより効果的に推進する。

例えば、6Gネットワークを通じて低空ドローンに感知や計算などの能力を提供し、ドローンの設計を最適化してその航続時間連を向上させる。

また、「具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)ロボット」では、スマート端末の計算機能を近くの6G基地局に移行させることで、ロボット本体に演算チップを搭載する必要がなくなり、より軽量に、連続動作能力をより強く、販売価格をより低くでき、ロボットの普及と実用展開が容易になる。

これらの点から、6Gがもたらすものは、単なる5Gネットワークのアップグレードではなく、業界エコシステムの変革だといえよう。

交通分野では、6Gは全域交通とスマートシティ建設の推進に役立つ。将来、周囲の車両と歩行者の位置を感知することで、6G技術は車両、インフラ、歩行者間の途切れのない連続的な接続を促進し、それにより自動運転、スマート交通管理などの革新的なアプリケーションの実現を可能にする。中国のいくつかの都市では、すでにこの分野の試みが進められている。

通信技術の発展段階の違いなどから、異なる国と地域では6Gに対する認識には、現在は多少の差異が存在する。技術的には、6Gはネットワーク速度の向上や遅延の低減に限定されるべきではなく、分野を跨いだ融合イノベーションの趨勢を重視すべきである。

目標としては、6Gの応用は特定の業界に限定されず、デジタル化、知能化転換に向けて全方位的にサポートし、6Gを介した「全域知能化」へ向かうべきである。

世界の産業界はコミュニケーションを強化し、早期に技術的コンセンサスを形成すべきであり、これは将来の6G技術標準とエコシステムの世界的な統一にとって、極めて重要なことである。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews