【10月8日  People’s Daily】広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)では、映画の有名なシーンを模した踊りを、人型ロボットが力強さと優美さを兼ね備えた動きで見事に披露した。手を振り、腰をくねらせ、方向転換し、歩くといった一連のダンスの動作を、滑らかで優美に、リズミカルでダイナミックに再現していた。

広東省東莞市(Dongguang)では、2台のロボットが、テスト場内で機敏に旋回や登坂を行い、設定された指令に従い自動追従機能も発揮した。データによると、2024年に広東省の智能ロボット産業クラスターの営業収入は900億元(約1兆8765億円)を超えた。その総合的な実力は国内トップに位置づけられている。

なぜこれほどのイノベーションのパワーが噴出しているのか?

「深セン市人工知能・ロボット研究院」を訪れると、技術革新から実用化まで、多様なシナリオに対応したロボット製品の数々に目を見張る。研究院の丁寧(Ding Ning)常務副院長が「ここでは、異なる分野に属し、異なるニーズに対応する研究開発チームが施設を共有し協力しながら、ロボット産業のさらなる可能性を切り開いている」と紹介した。

人間の健康と都市の持続可能な発展に貢献するという二つの方向性に焦点を当て、研究院は多数の主要企業と連携して重要な技術的課題に取り組み、ロボット産業発展の「推進役」となることを目指すとしている。

AIロボット開発企業「深セン衆擎机器人科技(Shenzhen Zhongqing Robot Technology)」では、身長1メートル38センチ、重量約40キログラムの人型ロボットが展示されている。24の「自由度(独立して動かせる可動軸)」を備え、腰部には320度まで旋回できるモーターを搭載しており、数多くの高度な動作をこなす。24の可動軸を備え、腰部には320度まで旋回できるモーターを搭載し、数多くの高度な動作をこなすことができる。この人型ロボットは今年3月、時速12キロメートルで「深セン人材公園」をランニングし、通行人の注目を集めた。

人型ロボットが疾走する姿は、深センのロボット産業の力強い成長を象徴する光景だ。

関連の報告書によると、昨年末の時点で、深センのロボット産業チェーンの総生産額は2000億元(約4兆1700億円)を超え、ロボット関連企業7万4000社以上が集積し、全国の知能ロボット企業総数の約16%を占めている。

ロボット製品は、もはや単なる「科学の見世物」には留まらず、我々の生産と生活に急速に浸透しつつある。

東莞市にあるロボットのダイレクト駆動関連技術の開発・生産企業「本末科技(Direct Drive Tech)」の渉外担当ディレクター・劉西同(Liu Xitong)氏は「現在、当社が開発したダイレクトドライブモーターは、掃除ロボットや配膳ロボットなどに広く採用されている」と説明する。設立5年で急成長を遂げた同社は、今年の出荷台数が1000万台を突破すると見込まれている。

劉氏は「当社著しい成長は、『XbotParkロボット基地』の一貫した支援なしにはあり得なかった。資金調達の支援だけでなく、同基地が持つ完備されたサプライチェーン・エコシステムが多くの利便性をもたらし、最初の顧客もまさに基地内の企業だった。現在は10数本の自動化生産ラインを備え、増大する市場の需要に、より適切に対応できるようになった」と語る。

香港科技大学(HKUST)の3人の教授が発起人となって14年に設立した「XbotParkロボット基地」は松山湖(Songshan Lake)に拠点を構えた。この新型研究開発機関は、世界中の大学、研究所、および上下流のサプライチェーンなどのリソースを結びつけ、ロボット分野の起業チームに全方位的な資源と資金支援を提供している。

育成、インキュベーション、成長、10数年前に蒔かれた科学技術イノベーションの「種」は、今や産業の「森」へと成長した。「『政府支援+企業化運営』モデルを通じて、近年では80社以上のロボットおよび知能ハードウェア企業のインキュベーションに成功し、スタートアップ企業の生存率は80%に達している」と基地責任者は語る。ここでは、起業家が資金支援を得られるだけでなく、製品開発、市場検証、チーム構築などの面で加速的な成長が実現できるという。

なぜ広東省にこれほど多くのロボット企業が集積しているのか?

その理由には、産業体系の完備が挙げられる。「衆擎科技」が立地する深センの「ロボットバレー」を例にとると、10近くの大学がキャンパスを構え、100社以上の関連企業が集積し、「上の階と下の階がそのままサプライチェーンの上流と下流の関係になり、産業パークがすなわち産業チェーン」という状況がまさに実現されている。「衆擎科技」の姚艾文(Yao Aiwen)共同創設者は、この利点を実感しており「新製品の設計図をサプライヤーに送ると、その日のうちにサンプルを持ち帰ることができる」と話す。

現在、深センはロボット産業において、コア部品から各種完成品に至るまで比較的完備された産業レイアウトが形成され、産業チェーン・サプライチェーンの現地調達率は60%を超えている。

発展環境の適性も大きい。東莞市は「松山湖科学城」を基盤に「広東省知能ロボット研究院」と「XbotParkロボット基地」という二大中核イノベーションプラットフォームの構築を進め、インキュベーション、パイロット生産、実用化など各段階をカバーするイノベーションチェーンを基本的に実現させ、ロボット産業の発展を全方位的に促進している。

先進的製造の強みと膨大な市場需要に後押しされ、広東は現在、ハイテク、高成長、大規模な産業の新しい支柱の構築を加速し、世界の人工知能とロボット産業におけるイノベーション拠点へと大きく歩みを進めている。(c)People’s Daily /AFPBB News