【10月4日  People’s Daily】ドイツ・ニーダーザクセン州に住むホフマン(Hofmann)さんの自宅には広い芝生があり、頻繁な手入れが必要だった。芝刈りロボットを購入する際、彼はさまざまな製品を比較検討した末、中国ブランド「科沃斯(Ecovacs)」を選んだ。

「ドイツでは『Ecovacs』の芝刈りロボットは安定したアフターサービス体制が整っているし、設計も欧州ユーザーの習慣に合っている。特に気に入っているのは経路計画機能だ。例えば、『ランダム移動』ではなく合理的に芝生の範囲をカバーするので、芝刈り効率が高い。妻も週末ごとに芝刈り機を押さなくて済むと喜んでいる」とホフマンさんは語る。

現在、中国ブランドのスマート芝刈りロボットは、海外の顧客が郊外の庭園を手入れする時の頼もしい助手となっている。今年に入り「九号公司(Segway-Ninebot)」「Ecovacs」「格力博(Greenworks)」「寧波大葉園林設備(DAYE)」など多くの園芸用ロボットや園芸機器メーカーの業績が、急成長しており、スマート芝刈りロボットの海外販売が新たな注目点となっている。

スマート機械設備の研究開発企業「安克創新科技(Anker Innovation Technology)」の祝芳浩(Zhu Fanghao)上級副総裁は「欧米やオーストラリアなどには郊外住宅が多く、庭面積が広く人口密度が低いため、従来の手作業での芝刈りは効率が悪くコストも高い。スマート芝刈りロボットを使用すれば、労力、時間、費用が大幅に節約できる」と指摘する。

芝刈りロボットの使用範囲は、住宅庭園、公園緑地、小型公共景観区域までカバーし、200平方メートルから4000平方メートルまでの異なるニーズに対応が可能だ。様々な傾斜にも適応し、花壇、池やプール、树木などの障害物を効果的に回避できるという。さらに、郊外型の庭園住宅では、芝生の手入れ状態は住宅そのものの価値体系に組み込まれているため、高い保有率を誇る成熟した消費環境が整っている。

人口の高齢化の進行、生活リズムの加速、屋外空間の需要増加なども、芝刈りロボットの需要拡大を後押しする重要な要素だ。

米国で事業展開中の園芸用機械メーカー「上海沃施実業(WORTH)」の呉君亮(Wu Junliang)総経理は「電動化、低炭素化、スマート化は業界発展の重要な方向性であり、芝刈り機も、これまでのように人手で境界信号ワイヤーを埋め込む方式から、自動化・知能化・無人化へと進化し、芝刈りロボットの巨大な成長の可能性が見えてきている」と話す。

予測データによれば、2028年までに世界の芝刈りロボット市場規模は約40億米ドル(約5927億6000万円)に達する見込みだ。

中国製芝刈りロボットが海外でよく売れているのは、製品の優れた性能が重要な要素だ。米国通販サイト「アマゾン(Amazon)」プラットフォームでは、中国企業製の芝刈りロボットが多くの高評価を獲得しており、「設置と操作が簡単」「自動障害物回避が正確」「性能が卓越」の3点が評価理由の上位を占めている。

「18年に買った芝刈り機は境界ケーブルの敷設が必要で、非常に手間が掛かった。今は、Anker製の『Eufy E18』芝刈りロボットで、充電すればすぐに作業を開始でき、操作がとても簡単で素晴らしい!庭に新しく草が生えると、自動的に清掃エリアを拡大する。モグラの穴も主動的に回避する。開発者はロボットのプログラムを毎週書き換えている改良をしているのではと思うほどだ」、ネット名「A.T.K.」の海外ユーザーは製品レビューにこう記している。

業界インタビューでは多くの関係者が、海外での中国産芝刈りロボットの人気の背景には、完備された中国の産業体系と日増しに強まるアッセンブル能力があると話している。 

呉総経理は「レーザーレーダーや境界不要ナビゲーションなどの技術的ブレークスルーが、芝刈りロボットの性能を著しく向上させ、ユーザーの使用時の満足度が大幅にアップした。現在多くの新型芝刈りロボットは、スマホアプリでの遠隔操作に対応している。ユーザーは芝刈りの時間と区域を個別に設定でき、リアルタイム作業状況確認やメンテナンスリマインダーが届くなどスマホで何でもできるようになった。レーダーなど部品の国産化が進んだことで、芝刈り機本体のコストが低下し、価格の引き下げが実現している」と説明した。

園芸用電動工具メーカー「浙江三鋒実業(SAFUN)」の総経弁公室の応鑫森(Ying Xinseng)主任は「精密測位、障害物感知・回避、駆動制御、経路計画などの技術モジュールが、芝刈りロボットの真の自動化とスマート化を実現する鍵だ。そして中国は、レーザーレーダー、知能アルゴリズム、低パルスモーター、マルチモーダル制御など一連の細分化された分野で優秀な企業を擁している」と指摘する。

さらに、強力な越境ECがより多くの海外販売の成長機会をもたらしている。例えば、「アリエクスプレス(AliExpress)」などの越境ECプラットフォームには、越境アクセスの簡素化、取引プロセスの最適化、ブランド露出の向上といった利点があり、関連企業の販売エリアの拡大、技術革新の加速、ブランドイメージ構築を支援している。

専門家は「芝刈りロボットは『中国製造』が絶えず向上し新しく発展していることの縮図だ」と言う。

中国と世界経済の結びつきが日増しに緊密になるにつれ、「中国製造・世界のベストセラー」を実現する新しいヒット商品が、ますます増えてくると期待される。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews