【9月15日  People’s Daily】黒竜江省(Heilongjiang)のクランベリーから四川省(Sichuan)のキャビアまで、重慶市(Chongqing)の淡水オーストラリア・マロン(ザリガニ)から甘粛省(Gansu)の南米原産バナメイエビまで、ますます多くの「洋風グルメ」が「中国の新しい特産品」となり、市場で広く認められ、地域を豊かにする特色ある産業へと発展している。これらの産地をたどり、「新しい特産品」の発展の足跡を追ってみよう。
 
■フランス原産のフォアグラを安徽省(Anhui)西部で生産

ガチョウの養殖を手掛ける「安徽仁俊禽業養殖」の門に入ると、「ガーガー」という鳴き声が絶え間なく聞こえ、作業場には数百羽のランドグースがひしめいていた。
同社の責任者・朱仁俊(Zhu Renjun)氏は「ランドグースは全身が宝物だが、特に肝臓(フォアグラ)はフランス料理の高級食材として大変よく使われる」と紹介した。

ランドグースの原産地はフランス南西部のランド地方だ。ところが現在、安徽省霍邱県には140社を超えるフォアグラ生産企業が集まり、年間出荷量はランドグース500万羽以上、フォアグラ生産量は5000トンを超えている。
 
同県にはもともと在来種のガチョウ・皖西大白鵝を飼育する伝統があった。近年地元の農家がフォアグラ消費市場の巨大な可能性に着目し、積極的にランドグースの飼育を開始した。ランドグースの養殖とフォアグラの生産はみごと成功を収め、その後も着実に発展し、地元の特色ある産業として定着した。
 
現在、朱氏はフォアグラの市場シェア拡大のため忙しい日々を送っている。朱氏は「今のフォアグラの販売チャネルは主にホテルとオンラインだが、さらに消費者層を広げ市場シェアを高めるには、スーパーマーケットの実店舗に進出しなければならない」と考えた。そして省内外の主要なスーパーのチェーン店に赴き、状況を確認した。
その結果「スーパー側の購買意欲はかなり高いが、製品の生産プロセスの監視も非常に厳格だ」ということが分かった。

そこで朱氏は「より多くの監視カメラを設置し、フォアグラの生産状況をリアルタイムでネットワークにアップロードし、スーパー側が確認しやすいようにする必要がある。保鮮庫と冷蔵庫をさらにアップグレードし、容量を拡大しなければならない」と考えた。

「必要な投資を合計すると、おそらく数百万元(数千万円)は掛かるだろうが、より大きな市場のためなら、投資する価値がある」、朱氏はそう心に決めている。
 
■山の中からキャビアが

緑の山、雪解け水、冷たい泉、四川省雅安市(Ya’an)の二郎山のふもとには、円形の冷水魚養殖池が数百もあり、大小様々な黒いチョウザメが泳ぎ回っている。

チョウザメの養殖とキャビアの生産を手掛ける「四川潤兆漁業(Sichuan Runzhao Yuye)の李軍(Li Jun)董事長は「チョウザメの生育に適した温度は摂氏12~20度だ。この地は冷水資源が豊富で、水温が低く、水質が良く、溶存酸素も十分だ」と話す。 

チョウザメの人工養殖技術を習得した李氏は、2012年に雅安市の天全県水産現代農業園区に養殖基地を立ち上げた。
 
チョウザメ一匹が、稚魚から産卵可能な成魚に成長するには、少なくとも8年かかる。また卵の採取は17の工程を15分以内に完了させる必要がある。

基地立ち上げ後は、キャビア加工技術の習得のため、わざわざ外国の専門家を招いて指導を受け、水産研究所や大学などと連携して、地元で専門家サービスチームを編成した。

現在、雅安のキャビア生産はすでに一定の規模まで拡大し、ブランドとして認知され、30以上の国と地域に販売されている。
 
自社のキャビアを持って輸出先に売り込みに行った当初は、外国の顧客から門前払いされた。この時の光景は今でも李氏の記憶に今も新しい。その後一歩ずつ品質を向上させ、一軒一軒訪問を重ね、技術検査、顧客の視察、国際的なブラインドテストを経て、李氏はついに顧客の味覚をとらえ、欧州市場への扉を開いた。現在、同社は17の国と地域でキャビアの商標を登録している。
  
■南米原産のエビが中国の西北部で泳ぐ

甘粛省臨沢県鴨暖鎮の「豊森新農業科技」の4号ハウスで、馬貴濱(Ma Guibin)副総経理が養殖池の間を慎重に歩きながら、身をかがめて点検している。数日後、新たなロットのエビの稚魚が育苗池からここに移され、出荷可能な大きさになるまで飼育されるからだ。

南米原産のバナメイエビは殻が薄く身が肥え、動きは穏やかで味は甘く、市場から広く歡迎されている。近年、中国東部の沿海地域で広く養殖され、養殖技術は成熟している。

しかし、バナメイエビは通常は水揚げからわずか数分の生存時間しかなく、冷蔵チェーンや保鲜技術を駆使しても、生存可能時間は5時間を超えない。そのため、かつては西部地域で新鮮なバナメイエビを食べることは困難だった。
 
臨沢は河西回廊の中部に位置し、交通の便が良く、鴨暖鎮は地勢が低く、地下水资源が豊富な場所だ。ところがここには耕作に適さない塩分を含んだアルカリ性の土壌が多いため、今まで使われていない土地が多かった。

22年、「招商引資政策(事業と投資の呼び込み政策)」の支援の下、馬氏たちは「陸上循環水式スマート養殖基地」の第一期工事を開始した。その後昨年にはデジタル設備を新たに導入し、養殖効率をさらに向上させた。
 
現在、馬氏と同僚たちは8棟の養殖ハウスを建設している。バナメイエビの年間生産・販売量は12万斤(約60トン)、その他の高付加価値水産物は2万斤余り(10トン余り)に達し、経済効果400万元(約8268万円)を達成した。

昨年、地元は周辺地域にさらに漁業と観光の複合施設を建設し、「養殖+観光+生態」という方式で、見学、写真撮影・アップロード、新鮮なバナメイエビの味覚を堪能できるツアーで、多くの観光客を惹きつけている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews