【9月10日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の未来科技城で8月4日、「スマートバス・未来への始動」と題したイベントが開かれ、市内初となる自動運転バスの実証路線と車両が公開された。

発表されたのは、福田TOD駅から智創産業園B区までの全長12キロの専用路線で、レベル4の自動運転機能を搭載した6メートルサイズのバス4台が走行する。車両には高精度センサーやAIアルゴリズム、路車協調システムが備えられ、自動発進・停止、障害物回避、複雑な道路環境での安定走行が可能とされる。現在は道路上での試験運行中で、近く市民向けの運行が始まる見込み。

運営する成都公共交通集団(以下、成都公交)は、国内で初めて「車両・道路・クラウド」の三位一体による自動運転システムを独自に構築した都市型バス事業者として知られる。自動運転バスの導入にあたっては、保守、充電、車庫管理、運行サービスを含むライフサイクル全体を対象とした運営体制を整備しており、統合プラットフォームと五つの支援体系を連携させ、スマートモビリティ技術と公共交通の融合を進めている。

今回の取り組みは、同社が掲げる中長期戦略の一環で、既存の公共交通事業を基盤に据えつつ、新たな成長分野の育成と、次世代モビリティへの挑戦を重視する方針に基づいている。関係者は「標準化と実証運用を通じて、業界の可能性と利用者体験の両面を広げたい」と話す。

今後は、運行、指令、保守、緊急対応を含む自動運転バスの運営管理体系を標準化するとともに、「自動運転安全員」「地図情報補助員」「車両調整技術員」「巡回点検員」など新たな職種の育成にも取り組む。人材研修拠点の整備や保守能力の強化を通じて、将来的にはライドシェア型タクシーや特殊用途車両などへの応用も視野に入れている。

成都公交はこれまでに60項目の運行シナリオを策定し、クローズドエリアでの走行テスト、公道での連携検証、多様な運用場面を想定した訓練を実施してきた。あわせて、『成都公交自動運転運行シナリオ構築計画』や『自動運転バス統合システム運用指針』などの制度・基準も整備が進められており、段階的な導入に向けた準備が進んでいる。(c)東方新報/AFPBB News