【9月8日 東方新報】「3、2、1、ゲーム開始!」

夜8時、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の銭江世紀公園で街灯が灯ると同時に、60人以上の若者が一斉に四方へ駆け出した。しゃがんで植え込みのそばに潜む者、花壇を回り込んで相手を惑わす者、スマホで地図を確認する者――笑い声と足音が交錯する中、公園全体を舞台にした都市型「かくれんぼ」が始まった。

■ルールはリアル版「猫とネズミ」

この若者版「かくれんぼ」は、昔ながらの「隠れて探す」形式ではなく、鬼ごっこに似たリアル版「猫とネズミ」だ。参加者は現地でくじを引き、「猫チーム」と「ネズミチーム」に分かれる(比率は1対5が一般的)。それぞれ蛍光色のリストバンドを着け、位置情報を地図アプリで共有。「ネズミ」は5分先行して逃げ、「猫」が追いかける。捕まった「ネズミ」は「猫」に転身し、リストバンドを交換。一試合は約1時間で、最後まで「ネズミ」が残ればネズミ側の勝利、全員捕まれば猫側の勝ちとなる。

SNSでは「都市かくれんぼ」「位置情報かくれんぼ」「童心に帰る」などのタグで募集が行われ、ネットスラング「彼女が逃げ、彼が追い、誰も逃げられない」で表現する投稿も見られる。

■発起人は「社交が苦手だった」90後男性

この日のゲームを主催したのは、湖北省出身の90後(90年代生まれ)男性・黒白(Heibai、仮名)さんだ。今年初めから屋外イベントの企画・運営を始めた理由は、気軽に交流できる場が欲しかったからだ。以前は職場以外に友人がおらず、「週末に出かけたくても人数が揃わない」という状態だった。

2023年に杭州市へ移ると、同じような若者が多いことに気づいた。昼はパソコン作業、夜は自宅でスマホ、外出しても行き先が思いつかない――。そこで「かくれんぼ」の募集動画を投稿すると、初回から60人以上が参加。今では延べ1万人以上が彼のイベントに参加している。参加者はEC関係者、大手IT勤務、スタジオ経営者などさまざまで、公園に集まれば皆がチームメイトになる。

中には迷彩服で草むらに潜み、位置情報を見ても捕まらない強者も。黒白は「みんなゲームをしているようで、実は知らない街で友達を作りたいのかもしれない」と話す。

■運動と出会い、ダイエット効果も

このゲームをきっかけに友人や恋人ができる例も多い。例えば、00後(2000年代生まれ)カップルの小張(Xiao Zhang)さんと小李(Xiao Li)さんは、今年3月に金沙湖公園で同じチームになったことから交際を始めたという。ただし黒白は「知り合ったばかりで個別に会うのは危険なので注意」と呼びかける。

また、運動目的で参加する人も多い。1998年生まれのプログラマー小趙(Xiao Zhao)さんは「ジムでランニングマシンの数字を見つめるのは退屈。でもここなら1時間で3キロは走れる」と語る。ある00後男性は、3〜6月の3か月間毎週参加し、20斤(約10キロ)の減量に成功した。中には1回で10キロ走る人もいるという。

安全面にも配慮し、スタッフは消毒液や絆創膏を用意。街灯のある大きな公園を選び、木登りや水辺への接近を禁止するなど、安全ルールを徹底している。(c)東方新報/AFPBB News