【9月18日 東方新報】中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は8月13日、7月末時点の統計を発表した。速報値によると、社会融資規模の残高は431兆2600億元(約8815兆9462億円)で、前年同月比9%増加した。このうち、実体経済向けの人民元建て貸出残高は264兆7900億元(約5412兆9166億円)で、前年同月比6.8%増となった。

増加額に注目すると、今年1〜7月の社会融資規模の累計増加額は23兆9900億元(約490兆4107億円)で、前年同期を5兆1200億元(約104兆6645億円)上回った。このうち、実体経済向けの人民元貸出は12兆3100億元(約251兆6447億円)増えたが、前年同期に比べると増加幅は694億元(約1兆4186億円)少なかった。

中国の信用格付け機関「東方金誠国際信用評価(Golden Credit Rating International)」の王青(Wang Qing)チーフ・マクロ経済アナリストは、7月の社会融資規模が前年同月比で増加したのは、政府債券による資金調達の拡大が大きく寄与したためだと分析する。特に、7月の特別地方債の発行額が前年同月比で大幅に増え、それが当月の政府債券による資金調達額の増加につながったという。8月も新規の社会融資は高水準が続くとみられる。

今年は政府債券の発行時期が大幅に前倒しされ、上半期の政府債券発行額は合計13兆3000億元(約271兆8825億円)となった。このうち、国債は7兆8900億元(約161兆2897億円)発行され、前年同期比36%増。また、存量の「隠れ債務」を置き換えるための2兆元規模の地方特別債枠のうち、約1兆8000億元(約36兆7961億円)が発行された。こうした政策の相乗効果により、上半期の社会融資規模は高い伸びを維持した。

専門家は、政府債券の発行は短期的には貸出需要の一部を代替する可能性があるが、長期的には財政政策の継続的な実行により、財政の乗数効果を十分に発揮して総需要を押し上げ、経済を活性化できると指摘する。その結果、新たな貸出需要を呼び込み、財政・金融・実体経済の良循環を促進すると見込まれている。(c)東方新報/AFPBB News