【8月3日 CNS】マラソン、ボクシング、サッカー――今年に入ってから、人型ロボットが登場する競技イベントが相次いで開催され、注目を集めている。

春節(旧正月、Lunar New Year)にはハンカチを操る芸で話題を呼び、4月には世界初の人型ロボットによるハーフマラソンが北京市で実施された。5月には人型ロボットが主役の格闘技大会が杭州で開かれ、6月には「機超(ロボットサッカー)」がネット上で話題になった。

専門家の間では、中国北方の企業はマラソンやサッカーなど脚の動きを生かす競技に強く、南方の企業は腕の動作を得意とする傾向があるとされる。こうした構図は、伝統武術の「南拳北脚」に例えられることもある。

ただし、人型ロボットの競技は全身の動きが重要だ。ボクシングには俊敏なフットワークが欠かせず、サッカーでも腕の補助動作が必要になる。いずれの競技も、背景には運動制御アルゴリズムやハードウェア性能の絶え間ない進化がある。

例えばロボットサッカーでは、もはや人がリアルタイムで操作するのではなく、ロボットがカメラで状況を把握し、事前に組み込まれたAI戦略に基づいて自律的に判断しながらプレーする。試合ではぎこちない動きや転倒も見られるが、中国のロボット技術が着実に前進していることがうかがえる。

今年8月には北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれる予定で、100メートル走やサッカー、立ち幅跳び、自由体操など計19種目が行われる見通しだ。大会は技術を磨く絶好の実践の場であり、アルゴリズムやハード・ソフト両面の進化を加速させる起点となる。業界関係者は、こうした「競技経済」が今後10年の人型ロボット開発をけん引すると見ている。

人型ロボットは、さまざまな先端技術が融合した新たな生産力の象徴だ。中国は強力なイノベーション力と充実した産業基盤を背景に、世界の第一線に立つ。

関連する有効特許は19万件を突破し、世界全体の約3分の2を占める。中国は11年連続で世界最大の産業用ロボット市場であり、世界の人型ロボット主要企業の3分の1超が中国企業だ。

北京のロボット企業の技術責任者は「人型ロボットはすでに『運動の時代』に入ったが、目標は競技だけではない」と強調する。視覚情報に基づき手足を自在に制御し、自律的に作業できるようになれば、家庭や産業の現場で本当の意味で人を助ける存在になる。人型ロボットは、これからが「生産力の時代」だといえる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News