【8月28日 東方新報】北京市では、スーパー業界が静かに変革を遂げつつあり、「ハードディスカウント(徹底した値下げ)」モデルの台頭により、「高良質・低価格」が新たな競争軸として注目されている。これにより、小売市場に新たな活力が生まれている。

5.9元(約121円)のバタークロワッサン、9.5元(約195円)の1リットル入り輸入ブドウジュース、19.9元(約409円)の輸入サーモンフィレなどが北京のスーパーの棚に並び、消費者の間では「買い物のコストパフォーマンス」が見直されている。

25日、物美集団(Wumart)による新業態「物美超値」ハードディスカウント店が北京市内の5つの主要エリア(西城区、東城区、通州区、石景山区、豊台区)に一斉オープン、6店舗が営業を開始した。

グループの報道担当者・許麗娜(Xu Lina)氏は、「物美超値では、品質と価格の両方に妥協はありません。年間4〜6回の全商品・全カテゴリーに対する検査と、週単位での価格比較調査により、日々手頃な価格で安心して商品を購入できるようにしています。年間を通じて常に低価格で、目玉セールには頼りません」と述べた。こうした取り組みの背景には、同業態によるシステム全体の最適化があるという。

商品の選定戦略としては、「SKU(最小管理単位)の厳選」を徹底。毎日の食事や高頻度で必要とされる商品に特化し、アイテム数を1300点以下に抑えている。中心となるのは、果物・野菜、生鮮肉・鮮魚、ベーカリー、惣菜、日用品といった6つのカテゴリ。過剰な選択肢を減らしている。

「商品数を絞ることで、来店客は短時間で効率よく買い物ができるようになり、同時に商品の回転率も高まり、在庫コストの削減やサプライチェーンの簡素化も可能になります。その分のコストは、価格として消費者に還元されます」と許氏は説明する。

取り扱う約1000点の商品中、自社ブランド品の割合は60%以上。製造工場と直接取引を行うことで、従来の大手ブランドに必要な広告宣伝費や仲介コストを省いている。また、商品の包装も「工場からそのまま店舗の棚に並べられる仕様」にすることで、再梱包の手間を省き、コスト削減につなげている。こうした工程の効率化が、価格にダイレクトに反映されている。

北京の小売市場では、常に革新的な取り組みが試されてきた。消費者の購買行動がより合理的になるなかで、効率的なサプライチェーンを軸とした「高品質・低価格」モデルは、新たな業界構造を生む可能性を秘めている。企業がもはや一時的なセールに頼らず、業務の効率化や在庫回転率の向上に注力するようになれば、小売業本来の価値が再評価され、市場に新たな競争の波をもたらすことになるだろう。(c)東方新報/AFPBB News