【8月15日 東方新報】最近、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)にある医療美容機関のカウンセリングルームでは、高校3年を卒業したばかりの張(Zhang)さんが、医師とともに手術前の最終確認をしていた。18歳になったばかりの彼女は、自らの「成人の儀式」として、二重まぶた手術を選んだ。「両親がこの手術費用を卒業祝いとして出してくれました。『これはあなた自身の人生の選択権だ』と言ってくれたんです」と、彼女は語った。

張さんのようなケースは決して特別ではない。大学入学通知が続々と届き始める中、もう一つの変化も、水面下で進んでいる。杭州市整形美容業界協会によると、過去数年にわたり、同市の医療美容業界は爆発的な成長を遂げており、美容医療機関の数は2017年の170軒から、2025年には600軒以上に増加する見通しだ。

今まさに夏休みシーズンを迎え、各地の医療美容機関では最も需要の高まる時期ともいえる活況が見られる。杭州で医療美容機関を創業した田魯魚(仮名、Tian Luyu)氏は、2019年にこの業界に参入した人物だ。彼女によれば、最近の美容医療のカウンセリング外来では、大学進学を控えた若者や在学中の学生たちが最も多く訪れており、特に二重まぶたや隆鼻などの顔の整形、フェイスラインを整える注射などが人気の施術となっているという。「今の80後(80年代生まれ)世代の親たちは、考え方が開かれていて、若いお客様の半分以上は親に付き添われて来院しています。これは、若者が『きれいになりたい』という思いを、家族も応援していることの表れです」と田氏は語った。

浙江工業大学(Zhejiang University of Technology)の教授であり、浙江省行動科学学会の常務理事も務める胡鳳培(Hu Fengpei)氏は、若者の整形には主に「身体的な理由」と「心理的な理由」の2つがあると指摘する。身体的な先天的異常や機能的な問題に対する整形手術は、正常な外見や機能の回復を目的としており、否定されるべきではない。一方で「星のような目」などを求める心理的な整形には、内面からの欲求が背景にある。ただし、その心理的欲求が現実との乖離や、「外見がそのまま社会的価値につながる」という認知のゆがみを伴う場合もあると述べている。

同時に、注目すべきはショート動画などのプラットフォームで「夏休みの逆転変身」などのトピックが億単位の再生数を記録している現象だ。美容やファッションのインフルエンサーによるチュートリアル動画が次々と保存されている。こうした関心の高まりは、学生たちが夏休みで時間に余裕があるという客観的な要因だけでなく、SNSによって形づくられた美の価値観――すなわち、洗練された外見が「自律」「成功」「人生の主導権」といった意味に結びつけられている――に影響されている。

では、こうした流れは「不安」なのか、それとも「自己決定」なのか。若者たちの美へのこだわりは、しばしば「外見への不安」とひとくくりにされがちだが、Z世代の姿勢はより多様である。確かに「見た目の競争」に苦しんでいるという声もあるが、多くの人はこれを「自分でコントロールできる成長の一形態」と捉えている。

浙江出身の2000年代生まれの大学生・小林(Xiao Lin)さんは、「筋トレやスキンケアは技術を磨くのと同じ。美しくなることは自分に対する期待であり、自信にもつながります。でも、それで不安に駆られることはありません」と話す。こうした思いにこそ、社会からのプレッシャーと自分らしさを求める若者の葛藤が表れている。彼らは主流の美の基準に合わせたいという思いと、新たな美の定義をつくりたいという願いの間で揺れているのだ。

小紅書(Red)などのビジュアル重視のSNSでは、「顔の美しさ」は単なる外見ではなく、もはや「社会的な資本」になっている。多くの若者が、自身のビフォーアフターの過程を発信し、承認や共感を得るようになった。その過程が「自己成長」の証明として認知され、そこから「素人から変身したインフルエンサー」という新たな職業も生まれている。このような「変化を周囲と分かち合うこと」は、自己表現の場であると同時に、仲間とのつながりを求めるものであり、「一緒に美しくなろう」がZ世代における新たなソーシャル・コードになっている。

胡鳳培氏は、こうした「夏休みの美の変身ブーム」の中で、特に18歳未満の未成年に対しては「冷静な思考」が必要だと呼びかけている。未成年は心理的・身体的に未成熟であり、美容医療に対する耐性が十分でないため、制度的な整備が急務だという。たとえば、未成年が整形手術を受けるには保護者の同意と立ち会いを義務づける、医療整形と医療以外の美容整形サービスを明確に区別して厳しく審査する、18歳未満に対する不必要な美容整形の広告や販売を法律で禁じるなどの対策が必要だと提案している。

また、成人については、認知的にも身体的にも成熟しているため、経済的に余裕がある範囲で自身のニーズに応じて整形を選択することは可能だとしつつも、整形と病気治療の区別を明確にし、「外見」を病的なものと混同しないよう注意を促している。(c)東方新報/AFPBB News