北京のオフィス賃貸市場、上半期に33%増
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【7月17日 東方新報】不動産サービス大手CBREは7月4日、「2025年上半期 北京不動産市場の動向と見通し」を発表した。これによると、2025年上半期における北京市のオフィス市場では、新規賃貸面積が前年同期比33%増加し、TMT(テクノロジー・メディア・通信)、金融、専門サービスの3業種が主なけん引役となった。
■オフィス市場の動向
2025年第2四半期には北京市内で2つの新しいオフィスビルが完成し、合計で14万8000平方メートルの新たなオフィススペースが供給された。上半期全体では、合計18万平方メートルの新規供給があった。
市場のムードは引き続き良好で、新規賃貸面積は前年比33%の伸びを示した。移転に伴う契約件数と面積もともに増加しており、企業がより有利な条件でオフィスを移転・再配置できるようになったことで、中関村や金融街といった業種集積地では移転需要が特に伸びている。
■業種別の傾向
新規賃貸需要を支えた主な業種は、TMT(全体の40%)、金融(20%)、専門サービス(12%)だった。TMT分野では、AIやビッグデータなどの分野に加え、ゲーム関連の需要も増加している。金融業界では、同一エリア内での集約移転が中心だった。専門サービス業では、国内の法律事務所やコンサルティング企業によるハイグレードのオフィスへの移転ニーズが続いている。取引面積の傾向としては、5000平方メートル以上の大型契約がじわじわと増えている。
第2四半期の純吸収面積は14万5000平方メートルで、上半期の累計は25万5000平方メートルと、前年比で2.1倍に拡大した。新規供給があったものの、空室率は引き続き下がり、上半期の時点で前期比0.8ポイント減の20.2%となっている。
地域別では、中関村、オリンピック公園エリア、望京といったテック系中心地が、優れた人材や産業基盤を背景に、主要IT企業の拠点として選ばれている。上半期に成立した1万平方メートル以上の大型賃貸契約の90%がこれらの地域で行われ、ネットアブソープション(新規入居から退去分を差し引いた実質的な利用面積の増減)も北京市全体の8割を占めた。特に中関村では、オフィスの空室率は8.9%にまで改善している。
■小売物件市場の動向
小売市場については、第2四半期に郊外エリアでの都市再開発により2つの新規商業施設が完成した。この2施設が、上半期全体の新規供給面積24万平方メートルの大半を占めている。
業態別に見ると、新規出店の中で飲食業が48%を占めて最も多く、地方料理を提供する飲食店が北京での出店が活発になっている。お茶やジュース関連の出店はやや落ち着いてきたが、スポーツ・アウトドア用品は依然として好調。ジュエリー・アクセサリー分野も活発で、たとえば中国フィギュア大手ポップマート(Pop Mart)のジュエリーライン「POPOP」が、北京国貿商城に初出店している。
データによれば、上半期の北京市における小売物件のネットアブソープションは16万2000平方メートルに達した。
■今後の見通し
CBRE華北地区マネージングディレクターの劉煥麗(Liu Huanli)氏によれば、2025年下半期には副都心エリアを中心に39万平方メートル超の小売スペースが新たに開業する見通しであり、すでに試験営業中の「中関村大融城」や「隆福寺二期」などが含まれる。一方で、一部の老舗商業施設では閉店やリニューアルの動きもみられる。(c)東方新報/AFPBB News