【7月2日 CNS】中国の新エネルギー車(NEV)は、世界の自動車産業地図を塗り替えつつある。

 2025年4月、中国の自動車メーカー・比亜迪汽車(BYD)は、ヨーロッパ市場における純電気自動車の登録台数で初めてテスラ(Tesla)を上回った。英国の自動車産業調査会社JATOダイナミクス(JATO Dynamics)のデータによると、同月の比亜迪汽車の登録台数は前年同月比169%増加したのに対し、テスラは49%減少した。

 登録台数全体のランキングでは比亜迪汽車は10位にとどまっているものの、テスラを初めて「逆転」したことは、海外メディアから象徴的な節目と見なされている――すなわち、中国の新エネルギー車メーカーが、ヨーロッパの自動車市場の構図を塗り替えようとしているということだ。

 JATOのグローバルアナリスト、 フェリペ・ムニョス(Felipe Munoz)氏は、この変化はヨーロッパ市場の「分水嶺」であり、同地域における比亜迪汽車の強力な拡大を反映していると分析している。

 ドイツのメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)、BMW、アウディ(Audi)といったBBAブランドをはじめとする伝統的な自動車メーカーがひしめくヨーロッパ市場において、中国企業の台頭は決して容易なものではない。2024年11月、欧州連合(EU)は中国製の純電気自動車に対し、最大で45.3%の関税を課すと発表し、貿易障壁を築いて自国メーカーを保護しようとした。

 また、テスラは十数年前からヨーロッパ市場での展開を始めており、中国企業よりはるかに早くから純電気自動車の人気ブランドとして地位を確立していた。

 それでもなお、中国ブランドは着実に成長を遂げ、ヨーロッパ自動車市場における無視できない新勢力となっている。

 この躍進は、中国の自動車産業チェーンが長年にわたって蓄積してきた力の発露に他ならない。

 過去10年以上にわたり、中国は完成車の製造から電池の研究開発、そして自動運転システムに至るまで、フルラインの産業構造を段階的に構築してきた。これにより、中国ブランドは高関税というハンデを受けながらも、コスト競争力や製品の投入スピードで海外の主流市場への参入を果たしている。

 米「ニューヨーク・タイムズ(New York Times)」は、EUが自国企業を保護するために関税を引き上げたものの、中国の電気自動車の価格は依然として欧州製品よりも安価であると指摘している。

 2025年4月、中国ブランドの純電気車のヨーロッパでの販売は、前年比59%増と好調であり、欧州・日韓・米国の企業の平均伸び率である26%を大きく上回った。

 EU関税の影響が比較的小さいプラグインハイブリッド車(PHEV)では、中国ブランドの成長はさらに著しい。比亜迪汽車を例にとれば、同カテゴリーを含む4月の販売台数は前年同月比300%以上の増加を記録している。

 中国自動車工業協会のデータによれば、2025年の最初の4か月で中国の自動車生産・販売は史上初めてともに1000万台を突破。そのうち、新エネルギー車の輸出台数は64.2万台に達し、前年同期比52.6%の伸びを見せた。

 2025年、中国の自動車ブランドは海外展開を一層加速している。比亜迪汽車はスイス市場への進出を発表し、小鵬汽車(XPeng)はバーレーン市場を開拓、智己汽車(IM Motors)はオーストラリアに参入。奇瑞汽車(Chery Automobile)や上海汽車集団(SAIC)といったメーカーは、自社の遠洋輸送船団を結成し、「他社の船を借りて海外へ」から「自社の船で世界へ」とステップアップし、海運の主導権を積極的に取りに行っている。

 同時に、産業チェーンの海外展開も並行して進行中だ。EV電池メーカー・寧徳時代新能源科技(CATL)はインドネシアに12億ドルを投じて電池工場を建設予定で、比亜迪汽車はハンガリーにおける初の欧州向け完成車工場の稼働を控えており、長城汽車(Great Wall Motor)はブラジルにおける現地デジタル自動車工場の建設を加速させている。

 中国企業は、継続的な技術投資と研究開発の革新により、車種・装備・航続距離・市場ニーズへの対応速度など多方面で強力な総合競争力を示している。

 業界関係者の分析によれば、海外工場の建設、自社輸送能力の向上、そして世界的な貿易環境の緊張緩和が進むにつれ、中国車の海外販売は今後も伸び続け、さらに大きな発展のチャンスが到来するとみられている。

 世界中の街を中国製の新エネルギー車が次々と走るなか、中国の自動車産業は「モノの輸出」から「システムの輸出」へと、サプライチェーン全体の優位性を武器に新たな段階へと進化している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News