【6月25日 東方新報】「この前、ちょっと接触事故を起こしたばかりなのに、すぐ空から『小さな飛行機』が飛んできて、拡声器で指示を出してくれたんだ。スマホで撮影してる間に、責任の所在もすぐ決まったよ」。最近、浙江省(Zhejiang)金華市(Jinhua)に属する県級市・永康市(Yongkang)に住む車の所有者・呉偉(Wu Wei、仮名)さんはそう話した。

 呉偉さんが話す「小さな飛行機」とは、永康市で新たに導入された「空中交警」――すなわち警察用のドローンのことを指す。このドローンは、事故当事者に呼びかけてオンラインでの迅速な処理や現場からの速やかな退避を促すことができ、さらに現場の映像をリアルタイムで後方の交通警察に送信して責任の判断を支援する。これにより、軽微な事故を非接触かつ迅速に処理・撤収する仕組みが実現された。

 現在、金華市は自らの管轄区域に全天候型の安全ネットワークを構築する方法を積極的に模索しており、その一環として警察用ドローンを中心とする「空中警察業務」をすでに始動している。これは、公共の安全を守る手段の最適化と都市ガバナンスの新たな可能性の拡張を目的とした取り組みだ。

 洪水対策の時期には、金華市公安局が警察用ドローンを活用し、河川、ダム、貯水池などの重点防災エリアに対して全方位の安全点検を行っている。これにより、豪雨時に発生しうる地滑りや浸透などのリスクを把握し、送信された映像を基に現地での対応を進めている。また、ドローンは同時に水難事故防止の任務も担い、浮輪などの安全器材を上空からチェックし、スピーカーを通じて周辺住民に安全注意を促す。

 さらに、金華市公安局はドローンを緊急対応や災害救援体制にも深く組み込んでいる。最近では、金華市蘭渓で集中豪雨による洪水災害が発生し、一部の低地の村や道路が冠水して通行不能となり、危険な状況に陥った。

 その際、現地警察はドローンの高所からの視点を活用して、複数の要救助者の正確な位置を迅速に把握し、救命胴衣、食料パック、医薬品などの緊急物資を投下した。さらに、ドローンから送られてくるリアルタイム映像は、その後の救援部隊の展開や水上救助ルートの設計において重要な判断材料となった。

 金華市では、高速道路区間における迅速な証拠収集にもドローンが使われている。以前、巡回中のドローンが、高速道路の緊急車線に違法駐車している乗用車を発見した。

 ドローンは直ちに高度を下げ、ナンバープレートと違反行為の様子を鮮明に記録し、映像とデータをリアルタイムで指令センターに送信した。センターの「デジタルコックピット」はすぐに車主の情報を呼び出し、最寄りの高速警察を現場に派遣するよう手配した。ドローンはその間も空中から監視を続け、すべての取り締まり過程をバックエンドシステムへと逐一送信し、完全な証拠チェーンを形成した。

 こうした取り締まりのプロセスは、地元において「空中での発見・警告→バックエンドでの分析・判断→地上での正確な取り締まり→全行程のデータ証拠化」という高速道路の安全を管理する一連の閉環式モデルが基本的に構築されたことを意味している。(c)東方新報/AFPBB News