体験型文化観光、若者の新たな交流手段に
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【6月24日 東方新報】若者の67.5%が、より地域に根ざした文化体験を望んでいる。
漢服をまとった若者たちが花ちょうちんを手に無形文化遺産の市を行き交い、屋外映画のスクリーンのそばで手染めの布作品を交換する――こうした光景は、もはや従来の観光旅行ではなく、若者たちの新たな社交スタイルとして定着しつつある。現在、体験と交流を組み合わせた文化観光イベントが、若者の間で人気を集めている。
このほど、中国青年報(China Youth Daily)傘下の中国青年報社社会調査センターは、アンケートサイト「問巻網(Wenjuan.com)」と共同で、1340人の若者を対象に調査を実施した。その結果、78.9%が「体験型文化観光は、若者の新たな交流手段になる」と回答し、67.5%が「今後は地域に根ざし、地元の文化を深く体験できるイベントに期待している」と答えた。また、60.2%は「より多くの交流要素が体験型文化観光に盛り込まれてほしい」と答えている。
湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)出身の00後(2000年代生まれ)・郝玥(Hao Yue)さんは、SNSで河南省(Henan)開封市(Kaifeng)にある「万歳山武侠城」の体験型プログラムを知り、端午節(たんごせつ)に訪れた。クイズや演劇など、協力型の企画が多く、現地では共通の趣味を持つ友人と出会い、旅の仲間も増えたという。「イベントを通じて初対面の人とも自然と打ち解けられた」と振り返る。
一方で郝さんは、テーマパークによってイベントの質にばらつきがあることにも触れ、「地元の文化や風習をもっと掘り下げ、地域ならではの特色を感じられる内容にしてほしい」と語る。ご当地グルメや伝統文化にちなんだオリジナル商品などがあれば、さらに魅力を感じるという。
また、北京市の27歳・王佳(Wang Jia)さんは、「今ではどこに行っても漆塗りの扇子作りやかんざし体験など、無形文化遺産や民俗文化の体験が似通ってきた」と指摘。商業化によって広まる一方で、形式ばかりが目立ち、文化本来の意味が失われつつあることに懸念を示した。
若者たちは、文化性・技術性・交流性の融合を求めている。「今後は観客自身が物語に参加できるような没入型演劇の体験が増えてほしい」「VRやARを活用した博物館での没入体験が、文化遺産への理解を深める手助けになるはず」といった声も上がっている。
実際、上海歴史博物館(Shanghai History Museum)では、VRやモーションキャプチャを活用し、西夏時代を体感できる展示が行われている。また、湖北省博物館(Hubei Provincial Museum)では、新春に中国古代の青銅楽器・編鐘を使ったコンサートが開催され、先端技術を用いた演出で新たな観覧体験が提供された。
調査では、67.5%の若者が「地域に密着した文化体験(例:地元の暮らしを1日体験するなど)」を、56.7%が「ハイテクを活用した体験(例:メタバース観光、AIとの対話など)」を、53.7%が「ゲーム性や社交性を重視した体験(例:文化観光+ゲームなど)」を望んでいると答えた。そのほか、異業種との融合体験(50.5%)や、環境保護や地域支援といった公益的な要素を含む体験(28.1%)にも関心が寄せられている。
今回の調査対象者は男性が43.4%、女性が56.6%。年代別では、00後が15.9%、95後が29.6%、90後が38.2%、85後が16.3%となっている。(c)東方新報/AFPBB News