【6月23日 東方新報】「化粧品業界は現在、マーケティング主導からテクノロジー主導へと移行しており、今後10年間で中国ブランドが突破口を見出す鍵は、ハードテクノロジーと文化的自信にある」

 全国工商連美容化粧品業商会の常務副事務局長・張金鉄(Zhang Jintie)氏は、6月15日に開催された「ペプチドテクノロジーによる化粧品技術強化交流会」の場でこのように語った。

 中国の調査機関「艾媒諮詢(iiMedia Research)」のデータによると、現在中国のヘアカラー市場には大きな潜在力があり、2028年までに家庭用ヘアカラー商品の売上は2800億元(約6兆円)を超えると予測されている。ただし、高価格帯の市場では今なお70%が外国ブランドによって占められているのが現状だ。

 詩得麗控股集団の総経理・肖雷揚(Xiao Leiyang)氏は、市場調査を通じて、女性消費者がヘアカラー商品に求める要素は「安全性」「色持ちの安定性」「持続性」の3点に集約されると指摘した。

 では、国産ブランドがこの状況を打破するにはどうすればいいのか。張金鉄氏は、「技術・基準・体験」の三位一体の仕組みを構築することが鍵だと強調した。具体的には、カラーケア効果のある商品の業界標準の制定、化粧品効果を評価する共同実験室の整備、透明性あるサプライチェーンのトレーサビリティープラットフォームの構築、美容テクノロジー共同体の形成などが求められている。

 また同氏は、中国化粧品の基礎研究を支援する特別基金を設立し、バイオマテリアルなどの重要技術に重点的な投資を行うことで、業界が抱える発展上のボトルネックを克服し、中国ブランドの中核的競争力を高めるべきだと提案した。

 交流会では、江南美湾研究院の主任科学者・李金華(Li Jinhua)氏が、染髪後の色持ちや髪の健康に関する科学的知識を紹介した。

 李氏によると、染髪後の色落ちは髪の健康状態と密接に関係しており、髪が黄ばむ・色あせる・退色するといった現象の本質は、髪内部の構造が損傷しているためだという。この損傷によって髪の水分が過剰に失われ、乾燥・パサつき・切れ毛といった問題が引き起こされる。現在よく使われている化粧品成分(例:ポリシロキサン、アミノシリコーンなど)は分子量が大きく、髪の内部にまで浸透して根本から修復することが難しいため、より効果的な修復方法の研究が重要となっている。

 肖雷揚氏も「色持ちとは単に色を留めることではなく、損傷を修復し、髪の健康なバリア機能を再構築するための重要なプロセスだ」と述べ、髪のダメージ問題の中でも退色が特に深刻だと強調した。(c)東方新報/AFPBB News