成都パンダ繁殖研究基地「科学普及チーム」のユニークな啓蒙活動・中国
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【6月4日 Peopleʼs Daily】「みんな、パンダの食べ物は何か当ててみて!」、ユニークなインタラクティブ科学普及イベントが「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」のパンダ2号館の前で始まった。パンダを見学に来た観光客が続々と集まってきた。
「竹だよね!」「果物も食べるよ、ビタミンが必要だから」「竹はとても硬いのに、パンダは消化できるのかな?」など、集まった観光客たちが次々に意見や疑問を出し、場の雰囲気は次第に盛り上がってきた。
科学普及チームのメンバー・向波(Xiang Bo)さんは、観光客の興味が高まったのを見て、いよいよ説明を開始した。パンダの食事の量から食べ物の種類まで、パンダの食習慣を丁寧に解説した。
2000年に設立されたこの「科学普及チーム」は、ジャイアントパンダを代表とする生物多様性の保護の理念を公衆に広めることを目的としている。過去10年間で、3000回以上の科学普及活動を実施し、22冊の科学普及書籍を編纂、22作品61話の科学普及映像作品を制作し、延べ10億人を超える人びとに保護の理念を伝え続けてきた。
「科学普及チーム」は20年にリアルタイムの現場体験型科学普及解説を導入した。向さんの話によれば、毎月月初めに基地の公式ウェブサイトでインタラクティブな科学普及解説のスケジュールが発表され、毎月平均15回ほど実施されている。
従来の講義形式とは異なり、現場でのインタラクティブな解説イベントによって、観光客の園内体験が豊かになるだけでなく、一般市民が絶滅危惧種の保護の現状を正しく理解し、自然に動物保護の知識を身につけることができるという。
子どもたちが、ミキシングボールにコーン、大豆、燕麦(オーツ麦)、微量の元素を混ぜた栄養粉を入れ、水を加えて混ぜ合わせ、力強くこねる。次に、こねた生地を型に詰めて蒸すと、月餅の形をした中国蒸しパン「窩窩頭(Wowotou)」が完成する。
これは基地の食堂での料理作りではなく、パンダ飼育研修コースのプログラムの1つだ。香ばしい「窩窩頭」を手に、「小さな栄養士」たちは達成感にあふれる表情を見せていた。
科学普及チームの唐亜飛(Tang Yafei)さんは「パンダの科学普及は幼少期から始めるべきで、体験学習活動は子どもの興味を十分に引き出せる」と強調する。この「パンダの栄養士」のような体験学習イベントは、同チームが16年から9つのテーマで設定した活動の1つである。 基地では毎月異なるテーマの公益活動を実施し、生物多様性保護の理念を人びとの心に浸透させている。
「成都大熊猫博物館」には、まばたきができ、質問に答え、怒ったりもできるバイオニックジャイアントパンダロボット「小川(Xiaochuan)」がいる。外見が本物そっくりで、視線を追う機能も備えている。観光客が質問すると、「小川」が答える。一問一答を通じて、大熊猫に関する科学知識が自然に浸透していく。
パンダの様々な鳴き声にはどんな意味があるだろうか?
博物館には音声インタラクティブ体験エリアが設置され、パンダの10種類を超える感情表現音声を収録している。訪問者はボタンを押して異なる音声を聴き、それらの音声のそれぞれの意味が理解できるようになっている。このユニークな設計が、訪問者の好奇心を刺激し、体験装置の前には常に長い行列ができている。
「成都ジャイアントパンダ博物館」は21年3月に一般公開された。世界初のジャイアントパンダをテーマにしたインタラクティブ体験専門博物館として、インタラクティブ体験、シーンの再現、没入型遊覧など多様な手法を通じて、来館者がパンダをはじめとする生存が危ぶまれる動物たちの現状を理解し、環境保護意識を強化できる施設となっている。
パンダは冬眠するのか?パンダはどのように「会話」するのか?
『あなたが知らないパンダの秘密』という絵本を開けば、その答えが見つかる。美しいイラストと生き生きとした言葉、かわいいイラストで描かれたこの絵本は「科学普及チーム」が作成した書籍として、出版直後から高い評価を受けている。
現在「科学普及チーム」は多くの種類の科学普及プラットフォームを構築している。彼らはパンダに関する研究成果、科学普及教育活動の経験、生態環境保護の理念を書籍にまとめ、オンライン科学普及活動を実施し、科学普及動画や映画を制作している。
さらに、同チームは28種類の科学普及関連製品を開発、ステッカーや絵葉書から、エコ食器やエコ収納袋まで、科学普及活動の際に配布している。これらは観光客の観光体験を豊かにするとともに、一般市民に環境保護の理念を伝えるものになっている。
チーム設立当初の2名から現在31名に拡大したこの平均年齢28歳の「科学普及チーム」は、年間300回以上の活動を展開している。彼らは基地内だけでなく、学校や地域社会にも足を運び、動物保護の理念を伝えている。
チームの向さんは「毎年基地を訪れる観光客が、パンダを見るだけでなく、パンダについて理解し、生態保護のために自分たちでもできることを実践してほしい。我々は常にイノベーションを続け、パンダの物語を皆さんに伝えることを目指している」と話している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews