【5月29日 東方新報】商務部副部長で国際貿易交渉副代表も務める凌激(Ling Ji)氏は、27日に行われた国務院の定例政策説明会で、中国全土の国家級経済技術開発区(以下「国家級経開区」)が2024年時点で232か所に達し、31の省・自治区・直轄市に広がっていると発表した。これらの開発区による地域総生産(GDP)は16.9兆元(約342兆5325億円)に上り、ハイテク企業は8.5万社、全国のハイテク企業の18.3%を占めている。さらに、対外貿易額は10.7兆元(約213兆1579億円)で全国の24.5%、実際の外資利用額は272億ドル(約3兆8969億円)で全国の23.4%に達し、開放型経済体制の構築、地域間の協調的発展、産業の質の高い発展において積極的な貢献をしている。

 凌氏は、国家級経開区の成果を3つの観点から説明した。

 まず第一に、開放型経済の推進である。国家級経開区は国際分業において積極的な役割を担い、内外の市場と資源を活用する力を高めている。たとえば、全国で最も外資を呼び込んでいる蘇州工業園では、2024年の外資導入額が20億ドル(約2865億4000万円)に達した。また、海南自由貿易港の設立後に急成長を遂げた洋浦経開区では、外資導入額が2018年と比べ13倍に増加した。輸出入額が上位に位置する開発区には、北京市、上海市、広州市(Guangzhou)といった一線都市だけでなく、江蘇省(Jiangsu)の昆山市(Kunshan)や浙江省(Zhejiang)の義烏市(Yiwu)など、県級市にある経開区も含まれる。中でも昆山経開区の輸出入総額は2024年に5700億元(約11兆3551億円)を超え、外向型・開放型経済としての特徴が際立っている。

 第二に、いわゆる「新しい質の生産力」の発展を加速させ、経済力と支援体制の両面で優位性が高まっていることが挙げられる。国家級経開区には、国内外の大手企業から、技術に特化した中小企業までが集積し、電子情報、高級装備製造、自動車、石油化学、新エネルギー、新素材など、多様な分野で分業のはっきりした大規模な産業体系が形成されている。現在、国家級経開区にある事業体は490万社を超え、そのうち一定規模以上の工業企業が7.3万社、ハイテク企業が8.5万社にのぼる。省レベル以上の研究開発機関も1.5万か所を超えている。2024年の経開区のGDPは16.9兆元(約336兆6699億円)に達し、「四上企業(一定規模以上の工業、建設、卸売・小売、サービス業)」による雇用創出は2400万人以上となった。

 第三に、地域間の協調的発展においても積極的な役割を果たしている。国家級経開区は地域の比較優位を活かし、産業の移転受け入れや園区の共同整備などを通じて、東部沿海地域の産業のバックアップ基地を広げるとともに、発展が遅れていた地域の活力強化を後押ししている。2024年には、中西部と東北部の国家級経開区によるGDPが6.65兆元(約132兆4766億円)、工業生産総額が3.73兆元(約74兆3064億円)となり、それぞれ東部の67%、74%に相当する。また、多くの経開区が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、国境地域の支援にも取り組み、補完し合いながら高品質な地域経済の形成を推進している。

 加えて、国家級経開区では管理体制の革新と最適化が進められており、国際水準のビジネス環境の構築に力を入れている。たとえば、組織の専門化・効率化が進み、約60%の経開区では内部機関が10以下に抑えられ、企業に対する行政サービスが迅速かつ質の高いものになっている。自由貿易試験区や総合保税区との連携を通じて、制度面でも要素の流動性、権利の保護、市場の秩序維持などにおいて成果をあげている。

 今後の取り組みについて、凌氏は次の3点を挙げた。第一に、「作業方案」に基づく各種政策の実施を主導し、各地方・部門に対して、要素の確保、改革試行の実施、経済管理権限の移譲などについて一層の支援を促していく。第二に、「投資中国—経開区を選ぶ」というブランド構築を継続し、外資誘致の質を高め、再投資を促進する。第三に、国家級経開区における明確で効率的な管理体制を確立し、公共サービスの提供能力と市場ベースでの運営水準を高め、動的な管理体制の整備と全ライフサイクルでの運用強化を図るとしている。(c)東方新報/AFPBB News