ATMの設置数、6年で30%近く減 電子決済が拡大
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【5月28日 東方新報】中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)が今年2月に発表した「2024年決済システム運営状況報告」によれば、2024年末時点で中国国内のATM設置台数は80万2700台で、人口1万人あたりのATMは5.7台となり、前年同期比で4.83%減少した。
中国の経済ニュースサイト・紅星資本局がこれまでのデータを整理したところ、ATMの台数は2018年末の111万800台がピークで、その後は毎年減少を続けている。2019年末は109万7700台、2020年末には101万3900台、2021年末には100万台を割り込んで94万7800台、2022年末には89万5900台、2023年末には84万5500台となっていた。
この6年間で、中国国内のATMは30万8100台減少し、台数ベースで27.74%の大幅な減少となった。
この傾向と対照的に、電子決済の利用は年々拡大している。
2024年には、銀行が処理した電子決済件数は3016億6800万件、取引総額は3426兆9900億元(約6兆8274億円)に達した。これに対し、2018年は電子決済件数が1751億9200万件、取引総額は2539兆7000億元(約5兆597億円)だった。
この6年間で、電子決済の件数は72.19%増加し、金額ベースでも34.94%の成長を遂げている。
ATMの減少に対して、ネット上では「もう長いこと使ってない。今はスマホが便利だから」といった声もある一方、「今でも結構使う。完全になくすのは難しいし、やっぱり必要」「高齢者や大きな金額の取引には、まだ必要だ」といった意見も見られる。
さらに、複数の銀行がATMサービスの見直しを進めており、カード不要の入出金サービスは徐々に撤廃されつつある。
今年4月には中国招商銀行(China Merchants Bank)が、4月9日からATMでのQRコードによる入金サービスを終了すると発表。今後は、顧客がキャッシュカードを持参してATMまたは店舗窓口での入金手続きを行うよう案内している。
完全な統計ではないが、この1年間で50を超える銀行が、カードレス入金・カードレス出金・QRコード出金といった各種サービスを終了している。昨年春には中国工商銀行(ICBC)や交通銀行(Bank of Communications)などの大手国有銀行が先行してサービスを調整し、続いて民生銀行(CMBC)、興業銀行(Industrial Bank)などの準大手行、さらに年末には栖霞農商銀行や莱州農商銀行など中小の地方銀行もこの流れに続いた。
こうしたサービスの見直しについて、各銀行は「金融サービスの最適化」「リスク管理」「コスト効率の改善」などを理由として挙げている。(c)東方新報/AFPBB News