山の子どもたちが「空中スクールバス」から見る中国の変遷・中国
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【4月24日 Peopleʼs Daily】中国・雲南省(Yunnan)の尼珠河村(Nizhuhe)の小学児童9人がエレベーターに乗ると、3分足らずで尼珠河大峡谷(Nizhu River Canyon)の谷底から268メートルの高さにあるケーブルカーのプラットフォームに到着する。
エレベーターを降りた子供たちはそこでケーブルカーに乗って 5、6分で山頂にある官寨(Guanzhai)小学校に到着する。自宅からの時間を合わせると、所要時間はわずか30分だ。
雲南省宣威市(Xuanwei)普立郷(Puli)の官寨村委員会が設立した小学校は、海抜1650メートルの尼珠河大峡谷の頂上にある。
一方、尼珠河村は、同じく官寨村委員会が管理する「自然村」(自然に形成された集落)で、海抜1100メートルの尼珠河大峡谷の谷底に位置している。
かつてこの集落の子どもたちは、峡谷に沿って550メートルの高低差がある険しい崖(天の路)を這い登り、川を渡って、3~4時間かけて徒歩で通学しなければならなかった。
子どもたちの危険で困難な通学が解決されたのは、2022年10月に高さ268メートルのエレベーターと、高低差200メートル近いロープウェイが正式に開通した時だった。子供たちは「雲の上の小学校」に直行できるようになった。通学が安全になっただけでなく、まるで「騰雲駕霧(teng yun jia wu)」(仙人が雲に乗り霧の中を飛行する)SF映像のような感覚もあり、子供たちの通学に対する気持ちも「とてもキツイ」から「とてもクールだ」に変化した。
人を楽しくさせるこのエピソードからは、まさに時代の足音が聞こえる。困難を克服する人びとの精神が感じられ、人びとの理念の変化が感じられる。
これは、困難の克服を決してあきらめない奮闘の記録である。
深い峡谷や切り立った断崖は、旅の障害にもなり、教育の隔離の原因にもなってきた。
子どもたちが山奥から学校に通うのを助けるため、祖父母の世代は素手で登れる石の足場を削り出し、父親の世代は階段状の桟道(さんどう)を築いた。
世代から世代へ、次から次へと外界につなぐための努力を重ね、知識を山奥に持ち込み、辺鄙な場所で貧困が代々にわたって続くことに抗ってきた。
今日では、続々と建設された外界への通路が、山奥の子供たちを、さらに遠い場所へとつなげている。
これは計り知れない発展の道である。
何世代にもわたり孤立していた場所が、どうして外界との通路で結ばれたのか?
鍵は発展の理念の転換にある。現地では「生態文化観光プロジェクト」が企画され、コーヒーショップ、バー、現地料理のレストランなどのビジネスがゼロから立ち上がった。
現在この村落全体で300世帯余り、1600人以上の村民が観光業で生計を立てている。農業と観光との組み合わせで、村は新たな姿となり、開発が本格的に始まった。
山は変わらず美しく、水も元のままだ。しかし発展の理念の転換で、かつては「貧しい山と障害になる水」だったものが、今では「緑の山と澄んだ水」となり、美しい景観は重要な開発資源となった。
これは独特の現代化の道の一つのだ。
地元政府はこの地域の発展のため観光プロジェクトを立ち上げ、インフラ整備の一環として「崖のエレベーター」やロープウェイを建設した。同時に、住民の生活を支えるため、グリーンチャンネルを開設し、村民や学生には無料優先乗車券を発行した。
観光開発は進み、村民の生活も向上した。貧困からの脱却と富への道は「発展の過程で人びとの生活を保障し改善する」という理念を活き活きと体現するものだ。経済発展と人びとの生活向上の好循環は、中国式の現代化に無限の前途を約束している。
尼珠河村は例外ではない。中国では数千数万の山村が、今や明るい光に照らされている。 理念と思想に導かれ、政策と資源に支えられ、その土地はもはや不毛ではなく、より多くの人びとの夢を育む土地となった。人びとは自らの勤労努力で、時代の流れに乗って運命を変え、幸福を築いている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews