【三里河中国経済観察】「甲亢哥」が映すリアルな中国の魅力
このニュースをシェア

【4月24日 CNS】高速鉄道が雲を切り裂き、ライブ配信は一切途切れず、ストリートダンスとカンフーが融合する――。
ユーチューブ(YouTube)で3700万人以上の登録者を誇る人気配信者IShowSpeed(中国語では「甲亢哥<Jia Kang Ge>」)が中国にやってきたことで、太平洋をまたぐ巨大なバズが巻き起こった。初訪問となる上海市での6時間ライブ配信は大反響を呼び、コメントは1万件を超え、「外国人の中国旅」ライブ配信が、まさに「新時代のリアルな中国」を伝えるブレイクスルーとなった。
■「甲亢哥」が魅せたリアル中国、その本質は「無加工の素顔」
彼の旅がこれほど注目された背景には、フィルターをかけない「ありのままの中国」を映し出したことがある。
たとえば、時速350キロの中国の高速鉄道に乗りながら2K画質でのライブ配信が途切れない様子は、同時にニューヨークの地下鉄で メッセージが読み込めない状況と鮮やかな対比を成した。上海市の外灘(バンド、Bund)で即興で中国のバズソング「陽光彩虹小白馬」を熱唱し、(Henan)登封市(Dengfeng)では少林寺(Shaolin Temple)でカンフーを学んで汗だくになり、「苦痛の表情」を見せる場面もあった。
伝統文化と最先端技術という「ミスマッチ」のようで実は調和したこの体験こそ、中国の魅力を解き明かす鍵だ。古さと新しさは別々に存在するのではなく、リアルな一瞬一瞬に溶け合っている。
■偏見を超えて――世界が「ありのままの中国」を見る時代へ
長年、西側メディアが色眼鏡で中国を報じてきたことにより、多くの外国人は中国に対するリアルな理解を持ち得なかった。しかし今、海外インフルエンサーたちが「ワンカット・ライブ」で届ける映像によって、外国の視聴者もようやく文化を大切にしながら技術力に満ちた中国の姿を見るようになった。外国人のコメントには、「なんて現代的で、先進的で、平和な国なんだ」との声も多い。
■「驚き」が「共感」に変わるZ世代の文化体験
2005年生まれの「甲亢哥」は、北京では伝統的な飲み物・豆汁に苦い表情を浮かべ、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)ではマグマのように辛いピザに絶叫、火鍋では汗をかきながら跳ね回った。
このような素直でリアルな反応は、インターネットを通じて瞬時に広まり、文化の違いを飾り立てることなく、ありのままに映し出す。世界中の若者がリアルタイムでチャットやコメントを送り合いながら視聴することで、文化の壁は共感というつながりに変わっていく。
実際、今の海外の若者たちは、ただ万里の長城(Great Wall of China)や故宮(紫禁城、Forbidden City)を「記念撮影」するだけでは満足しない。成都の裏路地でB級グルメを探し、広場ダンスに混ざって踊り、夜市では店主と値段交渉――。こうした「生活感のある体験」が、「親切」「フレンドリー」といった中国への評価を高めている。
■SNSで距離が縮まる――外国人インフルエンサーが「地元化」
「甲亢哥」は中国各地を「Citywalk(都市散策)」しながら配信する前、3月21日に抖音(Douyin)に初投稿。その後は万里の長城でのラップや、道行く人とネタを交わす動画を次々に公開し、わずか数日でフォロワー200万人超えを記録した。微博(ウェイボー、Weibo)にも「はじめまして!これが僕の初投稿です」と中国語で投稿し、中国ユーザーと一気に距離を縮めた。
このようなフレンドリーで現地に根差したSNSの発信スタイルは、中国のネット空間に溶け込む新たな海外インフルエンサーの姿を象徴している。活発で包容力のある中国のSNSは、ますます多くの海外クリエイターを引きつけている。
年初には、「小紅書(Red)」にも外国人ユーザーが急増し、中国人ユーザーとの交流が盛んに行われた。「中国語で自己紹介してみた」「中国のアプリ、マジでスゴい!」など、外来者から「ネット上の地元民」へと変貌していく様子が見て取れる。
■ビザなし渡航の拡大が文化交流を加速
中国がビザ免除対象国を増やしていることもあり、今後ますます多くの外国の若者たちが、実際に足を運び、カメラを通してフィルターなしのリアルな中国を発信していくことになるだろう。これこそが、真の意味での文化交流の姿なのだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News