禁断のK-POPに挑む 脱北者加入のアイドルグループ始動へ
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【4月23日 AFP】北朝鮮で生まれ育ったヒョクにとって、子ども時代は生き延びることがすべてだった。禁止されていたK-POPを聴いたこともなかった。だが今、脱北した彼は韓国でアイドルとしてデビューしようとしている。
新しいK-POPグループ「1Verse」のメンバー5人のうち、2人は北朝鮮出身だ。孤立した核武装国・北朝鮮からやって来た若者が、世界的に注目されるK-POP界でスターになるための養成トレーニングを受けるのは初めてだ。
ヒョクの故郷は北朝鮮・咸鏡北道。10歳になる頃には仕事をするために学校を休み、「生きるために、盗みをしなければならなかったこともだいぶある」とAFPとのインタビューで語った。
「K-POPなんて、まったく聴いたことがなかった」とし、「ミュージックビデオを見たときは贅沢だと感じだ」と説明する。
「僕の人生は、生き延びることだけがすべてだった」というヒョクは、農作業からセメントの運搬まであらゆることをして、家族の食費を稼いでいたと振り返った。
しかし13歳のとき、先に北朝鮮から脱出して韓国にたどり着いていた母親から連絡があり、同様に脱北するよう説得された。
飢えと苦しみから逃れるチャンスかもしれないとは分かっていたが、朝鮮半島のもう一方の国については何も知らなかった。「僕にとって世界は北朝鮮だけだった。その外に何があるかなんて、思ってもみなかった」
「1Verse」のもう1人のメンバー、ソクも北朝鮮出身だが、彼の境遇はヒョクとは対照的だった。比較的裕福な家庭で育ち、家は国境近くにあった。そのおかげで、K-POPやドラマといった北朝鮮で厳しく禁止されている韓国のコンテンツに触れる機会があったとし、「密輸業者が違法に音楽を売買していた」と説明する。
ソクは姉の影響で幼い頃からK-POPを聴いたり、北朝鮮では貴重だった韓国人アーティストの映像を見ていたという。「クールな表情やスタイル、例えば髪型とか、着ているものなどを、真似したくてたまらなかった」
19歳のときにソクは脱北した。それから6年が経ち、今ではK-POPアイドルの雰囲気が漂うようになっている。