世界の農地、最大17%が重金属で汚染
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【4月18日 AFP】世界の農地の最大17%が重金属によって汚染され、最大14億人に健康リスクをもたらしているとの報告が、17日付の科学誌「サイエンス」に発表された。
中国・清華大学の環境専門家デイ・ホウ氏らの研究チームは、過去の多数の研究から得られたデータを統合する「メタアナリシス(統合解析)」の手法を用い、約80万件の土壌サンプルを分析。重金属による土壌汚染の世界的な全体像を初めて明らかにした。
研究では機械学習アルゴリズムを用いて、ヒ素、カドミウム、コバルト、クロム、銅、ニッケル、鉛の7種の重金属のうち、少なくとも1種の濃度が農業や人間の健康に対する安全基準を超える地域を特定した。
こうした金属は、量によっては人体や動物、植物に有害となり、食物連鎖や水系を通じて生態系全体に影響を及ぼすおそれがある。
AIを活用した分析により、世界の耕作可能な土地の14~17%が、少なくとも1種類の重金属で汚染されていることが判明。これらの「高リスク地域」には、約9億~14億人が暮らしているという。
重金属による汚染の原因は、自然の地質的プロセスに由来する場合もあるが、産業廃棄物、農業、鉱業などの人為的活動に起因するケースも多い。
英ジェームズ・ハットン研究所の土壌化学者ワケネ・ネガッサ氏は、「利用可能なデータが限られていることや、汚染の過小評価の可能性を考えると、実際の汚染状況は報告よりもさらに深刻である可能性が高い」と指摘している。(c)AFP