【2月10日 東方新報】新年を迎え、中国各地で大規模な採用イベントが相次いで開催され、多くの雇用機会が提供されている。企業の再稼働・生産再開を支援する狙いもある。湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)の複数の人材市場を訪れると、今年の採用方法はより革新的かつ多様化しており、求職の選択肢が増えたことで、企業と求職者のマッチング精度も向上している。

 湖南省人力資源サービスセンターで開かれた「湖南の若手人材帰郷就職特別採用会」では、60社以上の企業が2000以上の求人を提供した。会場にはキャリアアドバイザーも常駐し、求職者にキャリアプランニングや面接のコツ、履歴書のブラッシュアップ、政策に関するアドバイスなどを行っている。

 企業側も、単に求人情報を掲載するだけでなく、積極的に求職者へアプローチし、ライブ配信を活用して採用活動を進めている。遠大科技集団(Broad Group)の採用マネージャー・李博文(Li Bowen)氏は、「国際建築デザイナー、国際インテリアデザイナー、国際法務などの人材を重点的に募集している。ライブ配信を通じて求職者と直接対話できるため、不適切な履歴書をふるいにかける時間が削減され、企業は必要な人材を素早く見つけられる。求職者もより適した職を探しやすくなる」と語る。ライブ配信を視聴するだけで、多くの求人情報を得ることができるという。

 また、湖南省の一部の県では、ライブ配信を活用した採用活動を零細労働者向けの拠点でも展開している。今年は、製造現場からのライブ配信も導入され、工場の作業環境や仕事内容をリアルタイムで紹介する新たな形式が始まった。これにより、求職者はより具体的な職場環境を事前に把握できるようになった。

 上海市、浙江省(Zhejiang)、湖北省(Hubei)、杭州市(Hangzhou)などの都市でも、新たな採用スタイルが続々と導入されている。例えば、上海市徐匯区(Xuhui)では「就職マルシェ」を地域で開催し、国有企業や外資企業がブースを設け、豊富な求人情報を提供している。また、会場内には「ワンストップ」キャリアサポートセンターが設置され、無料のイメージコンサルティング、メイクアップ指導、就職用写真撮影、面接用スーツの貸し出しサービスなどを提供している。

 大学キャンパスから産業団地、商業エリア、ナイトマーケットまで、各地の採用イベントは、より身近で実用的な形に進化している。雲南省曲靖市では、生活環境の整ったエリアで「新春試用就職」イベントを実施。湖南省永州市(Yongzhou)では、育児中の母親向けに柔軟な勤務形態を採用した「ママ向けライン」を設けた。浙江省建徳市では、採用イベント会場にドローン機器を展示し、求職者がその場で実習プログラムに申し込めるようにしている。

 長沙市の人材市場で履歴書を提出していた江西省出身の劉泯氏は、「故郷の九江市では、企業が求職者を呼び込むために、抖音(Douyin)の工場紹介動画やウォークスルー形式のオンライン求人動画など、新しい手法を活用している」と話す。また、各地で「地元での就職・起業支援センター」や「移動型バス採用イベント」が設けられ、地方出身者が地元に戻って就職・起業しやすい環境が整えられている。

 政府の雇用支援策も、よりきめ細かく、的確な形で展開されている。湖南省では、1800回以上の採用イベントを開催し、10万社以上の企業に人材を紹介し、140万件以上の雇用機会を提供する予定だ。湖南省人力資源・社会保障庁の副庁長・焦華芳(Jiao Huafang)氏は、「労働力確保のため、地域間での労務連携を強化し、帰省した農村労働者を職場に送り届けるための無料シャトルバスや専用列車を運行している」と説明する。

 採用の多様化が進む一方で、多くの企業は若者を引きつけるために新たな職種を設けている。例えば、長沙のある文化企業は「文創プランナー」や「学習旅行マネージャー」などの新しい職種を設置し、大学生から高い関心を集めている。同社の採用担当者・柳娜(Liu Na)氏は、「各地で若年層の就職支援を強化する動きがあり、若者向けのキャリア支援がより精密に進められている」と述べる。

 湖南省人力資源サービスセンターのキャリアアドバイザー・樊杰(Fan Jie)氏は、「多様化、実用性、精度の高い採用トレンドが、求職者に多くの選択肢を提供するだけでなく、経済発展の新たな原動力となっている」と指摘する。さらに、「企業が海外展開を加速する中で、海外勤務や国際関連業務の人材需要が拡大している。採用企業は、異文化マネジメントを学び、福利厚生制度を充実させることが求められる」とアドバイスした。(c)東方新報/AFPBB News