【5月22日 AFP】新型コロナウイルスの集団感染が初めて確認された中国・武漢(Wuhan)で取材が「社会秩序びん乱」の罪に当たるとして収監された市民ジャーナリストの張展(Zhang Zhan)氏(40)が釈放された。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」が22日に公開した動画で明らかになった。

 人権団体らは、釈放後も張氏は当局の監視下に置かれており、行動が厳しく制限されていると指摘している。

 元弁護士の張氏は、2020年2月に武漢に入り、コロナの流行で混乱する現地の様子を取材。スマートフォンで動画を撮影し、当局の対応に疑問を呈した。

 張氏は同年5月に身柄を拘束され、12月に「社会秩序びん乱」の罪で懲役4年を言い渡された。反体制派の取り締まりで適用されることが多い罪だ。

 張氏は今月13日に釈放が予定されていた。ただ、所在に関する情報がなく、拘束状態が続いている可能性もあると人権団体からは懸念が出ていた。

 RSFが公開した動画でパジャマ姿の張氏は、やわらかいがたどたどしい口調で「警察が5月13日早朝5時に私を釈放した。その後、上海の兄の家に送られた」と話した。

「支援と思慮に感謝しています。皆さんの幸せを願っています。(中略)他に話すことはあまりありません」

 動画の撮影者は不明だ。RSFは「仲介者を通して」動画が公開されたとしている。

 英国を拠点とする人権活動家のジェーン・ウォン氏はX(旧ツイッター)に、張氏は釈放されたもの「外界との接触と日常生活は完全に監視下に置かれている」と投稿した。ウォン氏は、張氏の釈放に向けて働きかけを続けていた。

 RSFは声明を発表し、「(張氏の)置かれている状況に不安を覚える。部分的な自由は自由ではない」と述べ、今後も外交的介入は重要だと訴えた。(c)AFP