【5月11日 AFP】仏パリのオルセー美術館(Musee d'Orsay)は、他館に貸し出していたフランスの写実主義の画家ギュスターブ・クールベ(Gustave Courbet)の有名絵画に2人の女が塗料をかけたことを受け、警察に告訴した。関係者が10日、明らかにした。

 告訴された2人が、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に対する世界的な告発運動を示す「#MeToo(私も)」というメッセージを塗料で書き込んだのは、クールベが1866年に制作した裸婦画「世界の起源(The Origin of the World)」と他4点。

 メッスの検察は、「MeToo」と書き込まれたのは計5点で、他に1点が盗まれたとしている。

「世界の起源」はオルセー美術館から、北東部メッス(Metz)のポンピドー・センター・メッス(Centre Pompidou-Metz)に貸し出されていた。作品はガラス板で保護されており、「MeToo」の文字はガラス板の上に殴り書きされた。

 オルセー美術館側は、クールベの「世界の起源」について、修復師が損傷状態を確認するとした上で、「額縁に塗料の染みが多数付着しており、修復後も跡が残る可能性がある」ため「告訴した」と述べた。今月中に閉幕するポンピドー・センター・メッスの展覧会からは同作品を引き揚げるという。

 ルクセンブルク出身のパフォーマンス・アーティスト、デボラ・ドロベルティ(Deborah de Robertis)氏はAFPに、自身が作戦を立案し、他の2人が実行したと説明。「女性とアーティストは切り離せない」と銘打ったパフォーマンスの一環だと主張した。

 ドロベルティ氏がAFPに送ってきた動画には、1人がクールベの作品、2人目が別の作品に赤い塗料で殴り書きし、「MeToo」と唱えて警備員に連行される様子が捉えられている。(c)AFP