【4月19日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で中国人初のフルタイムドライバーとなった周冠宇(Guanyu Zhou、チョウ・グアンユー)は、今週末の今季第5戦中国GP(Chinese Grand Prix 2024)でようやく母国レースに臨めることになり、「さまざまな感情」を経験するだろうと語った。

 ステークF1チーム・キック・ザウバー(Stake F1 Team Kick Sauber)に所属する24歳の周は、自身の出身地であるレース開催地の上海で街中に自身のポスターが貼られるなど、母国でスーパースターとしての地位を築いている。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で5年ぶりの開催となる今回の中国GPに向けて、インタビューや宣伝活動のほかファンイベントがひっきりなしに続いている中、周は「日本から戻ってきてからこの約1週間半もの間、クレイジーな状況が続いている」と報道陣に明かした。

 続けて「待ちきれないよ。今週末にはさまざまな感情が去来するだろう」「特に日曜日(21日)に国歌が流れるときは、子どもの頃にここへ来たときの思い出がよみがえるだろうね」と話しつつ、「だけど最も大切で重要なことは、正しい仕事をしてポイントを稼ぐことだ」と気を引き締めていた。

 このめまぐるしい数日間には、19日に公開される自身のドキュメンタリー映画『The First One』のプレミアにも出席した周。2004年に初開催された中国GPを5歳のときに観戦し、その中にはスペイン人ドライバーのフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)の姿もあった。

 現在42歳になるそのベテラン選手と今ではグリッドに並び、この日行われた記者会見でも隣に座ると、アロンソを振り返りながら「この人を見たあの日に戻った」「彼が今でも非常にハイレベルでレースをしているなんて想像もできない。あれから20年後に、自分はこのGPにたどり着いた」と語った。

 2022年シーズンからF1に参戦している周だが、ここまではまだ勝利を挙げられず、チームも今季のコンストラクターズ選手権で1ポイントも稼いでない。

 それでも中国のパイオニア的存在である周は、20日のスプリントか21日の決勝レースで母国ファンに歓喜を与えられると確信しており、「今週末は2度の機会があり、チームにはポテンシャルがある」「マシンはOKだし、絶対にポイントを稼いでみせる。中盤争いは全マシンが絡んでかなり厳しいけどね」と語った。(c)AFP/Daniel HICKS