【4月18日 AFP】米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン(Bill Nelson)長官は17日、中国が宇宙開発能力を強化し、軍事目的を隠すために民間プログラムを利用していると指摘し、引き続き警戒する必要があると警告した。

 ネルソン氏はNASAの2025年度予算について下院歳出委員会で証言し、「中国は特にここ10年で目覚ましい進歩を遂げたが、極度の秘密主義だ」「中国のいわゆる民間宇宙開発プログラムの多くは、軍事プログラムだとわれわれは考えている。そして事実上、われわれは競争状態にあると思う」と述べた。

 さらに、中国が「われに返り、民間宇宙開発は平和利用のためのものだということを理解することを」望むと述べる一方、「中国がそうした態度を示すのを見たことがない」と付け加えた。

 また、米国は中国よりも先に月面に再着陸するべきだと強調。もしも中国が先着すれば 「ここはわが国の領土だ、立ち入るな」と主張しかねないと懸念を表明した。

 米国は1972年以来となる人類の月への帰還を目指す「アルテミス(Artemis)」計画の第3弾、「アルテミス3」で2026年に有人月面着陸を目指している。一方、中国は2030年までに有人月面着陸を果たしたいとしている。

 ネルソン氏は米国が宇宙開発における「世界的優位性」を失うことはないと確信しているとしつつ、「だが、現実的であらねばならない。中国は宇宙開発に巨額を投入しており、予算を増やす余裕もまだかなりある。われわれは油断すべきではない」と述べた。(c)AFP