【4月16日 AFP】オーストラリア・シドニー西郊のアッシリア東方教会で15日、礼拝中の司教を含む2人が16歳の少年に刃物で切り付けられ、負傷した。礼拝はライブ配信中で、襲撃の様子も捉えられた。警察は翌16日、宗教的な動機による「テロ」との見方を示した。

 事件が起きた教会は、ネット上で20万人近い信徒を擁する。所在地のウェイクリー(Wakeley)は、アッシリア東方教会信徒の小規模なコミュニティーがあり、イラクやシリアでの迫害や紛争から逃れてきた人々が多くを占めている。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州警察のカレン・ウェッブ(Karen Webb)本部長は記者会見で、宗教的な動機に基づく「過激主義」による「テロ」との見方を示した。

 一方、オーストラリア保安情報機構のトップは、容疑者は単独犯とみられ、国内でのテロ攻撃に対する脅威レベルを直ちに引き上げる必要はないと述べた。

 少年は激高した信徒らに直ちに取り押さえられ、その後、警察に拘束されたが、勾留先は明らかにされていない。

 刺された人以外にも他に3人が負傷。さらに教会の外で起きた暴動でも約30人が負傷し、手当てを受けた。当初、教会周辺には500人以上が殺到し、教会に入って少年にリンチ(私刑)を加えようとする人々と機動隊が3時間にわたって衝突した。

 クリス・ミンズ(Chris Minns)州首相は、キリスト教およびイスラム教の指導者との共同声明を発表し、地元住民に自制を呼び掛けた。

 シドニーでは13日にも、刃物を持った男が商業施設で買い物客らを襲い6人が死亡。駆け付けた警官に男が射殺される事件が起きたばかり。(c)AFP/Andrew BEATTY