【4月9日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は8日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)最南部ラファ(Rafah)への地上侵攻作戦の実施日程が決定したと明らかにした。同国がイスラム組織ハマス(Hamas)の最後の拠点の一つと主張しているラファには、約150万人のガザ住民が避難している。

 ネタニヤフ氏は、具体的な日程については明らかにしていない。ただ、ハマスに勝利するには「ラファへの進軍と、そこにいるテロリスト大隊のせん滅が必要だ」と動画で改めて主張。「必ず起きる。期日はある」と語った。

 この発言を受け、 米国務省のマシュー・ミラー(Matthew Miller)報道官は同日の記者会見で、「イスラエルに対して、ラファへの本格的な軍事侵攻はガザ住民に甚大な被害をもたらし、結果的にイスラエルの安全保障を損ねることになるとのわが国の見解を伝えた」と述べた。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権はイスラエルに、ラファ住民の保護計画を提示するよう再三要請。米慈善団体の職員ら7人がイスラエルの空爆で死亡した事態を受け、バイデン氏は先週、イスラエルが人道的懸念に対処しない限り、対イスラエル政策を見直す可能性を示唆した。

 フランス、エジプト、ヨルダンの首脳もこの日、イスラエルがラファを攻撃する恐れがあると警告し、ハマスとの「即時」停戦を呼び掛ける共同声明を自国紙および米紙上で発表した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)、ヨルダンのアブドラ国王(King Abdullah II)は署名入りで、「150万人以上のパレスチナ住民が避難生活を送るラファへのイスラエルの攻撃は、危険な結果を招く」「こうした攻撃は、さらなる死と苦しみをもたらし、ガザ住民の集団強制移住のリスクを高め、紛争地域の拡大につながりかねない」と指摘。

「即時停戦」を求める国連安全保障理事会(UN Security Council)決議の速やかな履行と、ハマスが拘束している人質全員の解放、ガザへの人道物資搬入の大幅な拡大を求めた。

 一方、ハマス側はこの日、エジプトの首都カイロでの協議後、戦闘休止と人質交換に関する提案を検討中だと明らかにした。(c)AFP