【3月6日 AFP】4日に発表されたパリ五輪・パラリンピックの公式ポスターに対して、「ウォーキズム(社会問題に高い意識を持つよう呼び掛ける主張)」だとして、保守派や極右派の政治家が不満を示している。

 今回発表された五輪ポスターは、イラストレーターのウーゴ・ガットーニ(Ugo Gattoni)氏がパリ市街をアニメ風に描いたもので、エッフェル塔(Eiffel Tower)をはじめとする主要な名所だけでなく、五輪・パラリンピックが行われる54会場などが細かく描き込まれている。

 しかし一部の政治家は、十字架やフランス国旗がないことに憤慨。特に、市中央にある歴史的建造物で、ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)も埋葬されているアンヴァリッド廃兵院(Dome des Invalides)の上に十字架がないことが不満の種となっている。

 保守系野党・共和党のフランソワグザビエ・ベラミー(Francois-Xavier Bellamy)氏は、自身のX(旧ツイッター)に、制作者は「フランスを否定し、現実をゆがめて歴史をなかったことにしようとさえしている」と投稿。極右政党・国民連合(RN)のニコラ・メゾネ(Nicolas Meizonnet)氏は、十字架を描かなかったのは極右が問題視する「ウォーキズム」によるものだとつづった。

 これに対して、文化論争に巻き込まれたガットーニ氏は、「頭に浮かんだ姿の」建物を描いただけで、隠れた意図があったわけではないと話し、「オリジナルを正確に写し取ることが狙いではなく、パッと見たときの分かりやすさ、シュールレアリスム的なお祭りムードの世界に建物を配置することを目指した」と述べた。

 パリ五輪組織委員会も、ポスターは「生まれ変わったスタジアムシティーを楽しく解釈したもの」で、フランス国旗を描く義務はないと主張。サーフィンの波は「マルセイユ沖のもの、エッフェル塔はピンクで、メトロ(地下鉄)は凱旋(がいせん)門(Arc de Triomphe)の間を通っているが、いずれも政治的な意図で解釈したものではない」としている。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT, Gabriel BOUROVITCH