【2月29日 AFP】イタリア国防省は、性的・民族的少数者を侮辱したと非難されている書籍を出版した将官について、軍の中立性に違反したとして停職・減給11か月の懲戒処分にした。将官の弁護士が28日に発表した。

 問題となっているロベルト・バナッチ(Roberto Vannacci)大将(55)は、すでにイタリア軍地理研究所(Military Geographical Institute)の管理職を解かれ、作戦地上部隊司令部の参謀長に異動していた。

 バナッチ氏は現在、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼インフラ・運輸相率いる極右政党「同盟」から、6月の欧州議会(European Parliament)選挙への出馬を検討している。

 AFPの取材に応じたバナッチ氏の弁護士ジョルジョ・カルタ氏によると、国防省はバナッチ氏には「責任感と中立性が欠如している」とし、「所属する組織の威信と評判を損ねた」と非難した。

 一方、バナッチ氏側は処分を不服とし、「軍人を含む全国民に保障された表現の自由の権利」を主張して行政訴訟で争う構えだという。

 バナッチ氏は昨年8月、軍当局に報告せず、「逆行する世界(The World Backwards)」と題する書籍を米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)を通じて自費出版。その中で、同性愛者は「正常」ではないと主張。また、フェミニストや環境保護活動家、有色人種、移民を念頭に、「少数者による専制」に反対する姿勢を示した。

 黒人の女子バレーボール選手、パオラ・エゴヌ(Paola Egonu)さんについては、「イタリア国籍を持っているが、イタリア人らしくないのは明らかだ」とも記述した。(c)AFP