【1月30日 AFP】フランスの人権擁護機関は29日、今夏のパリ五輪を控えて市内の路上生活者が排除されているとの申し立てを受け、調査を開始したと発表した。

 一部の人権団体は、自治体当局が首都圏で路上生活者や移民収容施設、スラムを一掃する「社会浄化」を行っていると非難。

 一方、地方では、パリから地方都市の簡易宿泊所に路上生活者らが移送されている事態を受け、抗議デモが起きている。

 これに対し政府は、五輪に向けて「ホームレス・ゼロ」を目標に掲げているわけではないと反論している。

 人権オンブズマンのクレール・エドン(Claire Hedon)権利擁護官は、「五輪大会絡みで人権と自由が脅威にさらされているか」調査に着手したと説明。

「路上生活者がパリ以外の施設に移送されている実態」を解明すると表明。「好ましからざる人々を社会から見えなくする」政策が取られているのかをめぐり、疑問が投げ掛けられていると指摘した。

 大会期間中、パリ市内の学生寮が救急隊員や国家公務員の宿舎として使用され、その結果、学生約2000人が転居を余儀なくされることについても調査を約束。このほかデモ規制や、警察による人工知能(AI)を利用した群衆監視ソフトの使用に関しても精査するとした。

 調査結果は4月にも発表される見込み。(c)AFP/Marine PENNETIER