【1月30日 AFP】28日に行われた全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2024)の男子シングルス決勝で四大大会(グランドスラム)初制覇を果たしたヤニック・シナー(Jannik Sinner、イタリア)が、「プレッシャーの嵐の中でダンスする」のは好きだと話し、今後に向けた心構えはできていると主張した。

 2019年に17歳でテニスシーンに躍り出て以来、将来有望な若手とされてきたシナーは、そこから5年の歳月を費やして頂点へたどり着き、3-6、3-6、6-4、6-4、6-3の逆転でダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)との5セットマッチを制した。

 それでもシナーは現状を冷静に受け止め、今後は間違いなく注目が高まることについて、「今のこの立ち位置に非常に満足している。自分の後ろには最高のチームがいて、みんな僕が何をすべきかを分かっている」と話した。

 今大会のシナーで驚きだったのは、落ち着いた冷静な振る舞いで、それは厳しい局面でも変わらなかった。決勝では非常に攻撃的なメドベージェフに2セットを先行されたがパニックに陥らず、メドベージェフの隙をうかがい、訪れたチャンスをものにした。

 シナーは「プレッシャーは常にあるが、プレッシャーはいいものだ。うまく受け止めなければならない。ある種の特権なのだから」とコメント。「確かに自分は、プレッシャーの嵐の中でダンスするのが好きだ。個人的に気に入っている。そういうときはたいてい、最高のプレーが出せるからだ。そうした場面ではすごくリラックスもしていて、コートにいることを楽しもうと心がけている」と話した。

 シナーはこの半年間で大きな成功を収めている。昨年8月のナショナルバンク・オープン(National Bank Open 2023)でマスターズ1000(ATP Masters 1000)初優勝を果たすと、中国オープン(China Open 2023)とエルステバンク・オープン(Erste Bank Open 2023)でもタイトルを獲得。母国開催のATPファイナルズ(ATP Finals 2023)で準優勝し、国別対抗戦デビスカップ(Davis Cup 2023)ではイタリアを優勝に導いた。

「だから、僕とチームの両方にとって素晴らしい瞬間になった。だけどみんな、大きな大会のトロフィーをまた勝ち取りたいなら、成長しなくてはならないことも分かっている」

 映像はビクトリア州王立植物園(Royal Botanic Gardens Victoria)で記念撮影に臨んだシナー、29日撮影。(c)AFP/Martin PARRY