【1月13日 AFP】ドイツ政府は12日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で「ジェノサイド(集団殺害)」を行っているとして南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提訴した件で、南ア側の主張を強く否定した。

 南アは、イスラエルが集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)に違反したとしてICJに提訴。現在、審理が行われている。

 ドイツ政府のシュテッフェン・ヘベシュトライト(Steffen Hebestreit)報道官は声明で、イスラエルは昨年10月7日にイスラム組織ハマス(Hamas)による「非人道的な」攻撃を受け、「自衛している」にすぎないと主張。

 さらに、ドイツ政府は自国の歴史と第2次世界大戦(World War II)中のナチス・ドイツ(Nazi)によるホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)という人道に対する罪を踏まえ、「ジェノサイド条約について特に注力している」と続けた。同条約は、ホロコーストを受けて1948年に国連総会(UN General Assembly)で採択された。

 ヘベシュトライト氏は、同条約がホロコーストの再発を防ぐ上で国際法の「中核」を成しているとした上で、同条約の「政治利用には断固として反対する」と述べた。

 また、イスラエルによるガザでの軍事作戦への各国の見解が割れているのを認めつつも、「ドイツ政府は、イスラエルがジェノサイドを行ったとするICJへの訴えを断固かつ明確に否定する」「(南アの)主張は事実無根だ」と強調した。

 また、ICJには、多国間条約の明確化を求める国に対して訴訟参加を認める規定があり、ドイツは第三国として参加を要請するとした。(c)AFP