【1月10日 AFP】エクアドルのダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領は9日、犯罪組織のリーダーが脱獄して以来、誘拐事件が相次ぐなど治安が極度に悪化している中、同日には武装集団がテレビ局に押し入ったのを受け、国内は「武力衝突」の状態にあるとし、犯罪組織の制圧を軍に命じた。

 エクアドル最大の犯罪組織「ロス・チョネロス(Los Choneros)」のリーダー、ホセ・アドルフォ・マシアス(Jose Adolfo Macias)容疑者が7日、南西部グアヤキル(Guayaquil)の刑務所から脱獄。

 これを受けてノボア氏は8日、非常事態宣言と夜間外出禁止令を発令し、犯罪組織の徹底的な取り締まり方針を表明していた。

 しかし、この日は各地で爆発などが相次いだほか、警官7人が誘拐された。SNSには、捕らえられた警官の1人が銃を突きつけられ、ノボア大統領に宛てた声明を読み上げさせられる動画が投稿された。声明は「われわれは警官、市民、兵士を戦争の獲物にする」と取り締まりへの報復を宣言、午後11時以降に外出している者は「処刑する」としている。

 一方、グアヤキルでは武装集団がテレビ局「TCテレビシオン」のスタジオに乱入。その模様は生放送され、銃声や職員の悲鳴が聞かれた。結局、約30分後に警官が駆け付け、容疑者13人を逮捕。死傷者は出ていない。

 36歳のノボア氏は昨年11月に大統領に就任。麻薬絡みの犯罪や暴力との闘いを公約に掲げている。(c)AFP