【12月28日 AFP】インドネシア最西端アチェ(Aceh)州の州都バンダアチェ(Banda Aceh)で27日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民100人以上が収容されている一時保護施設に大学生数百人が押しかけ、ロヒンギャを強制的に立ち退かせた。

 アチェ州沿岸には11月中旬以降、1500人以上のロヒンギャがボートで漂着しており、国連(UN)は過去8年間で最多の流入だと指摘している。地元住民に拒絶されたり、海に押し戻されたりしたケースもあるという。

 さまざまな大学の校章が付いたジャケットを着た学生たちは、ロヒンギャ137人が収容されていた公営ホールに突入した。

 AFPが確認した映像によると、学生たちは地元の入国管理局に対し、ロヒンギャを退去させミャンマーに強制送還するよう要求。「追い出せ」「アチェはロヒンギャを受け入れるな」とシュプレヒコールを上げた。中には難民の持ち物を蹴る学生もいた。

 涙を流すロヒンギャの女性や子どもや、顔を伏せ祈る男性の姿も映っていた。

 現場にいたAFPの記者によると、デモ隊と、おびえるロヒンギャを警護していた警官隊とのもみ合いになったが、警官隊は最終的にデモ隊によるロヒンギャの排除を許可した。

 デモ隊はタイヤを燃やし、ロヒンギャを移動させるためのトラックを用意したという。AFP記者によると、警察はロヒンギャをトラックに乗せるのを手伝った。ロヒンギャは近くにある別の政府施設へ移送された。

 AFPはバンダアチェ警察にコメントを求めたが、回答は得られていない。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、この出来事は難民に衝撃とトラウマを残したと批判した。

 インドネシアは国連の難民条約に未加盟で、ミャンマーからの難民を受け入れる義務はないと主張。近隣諸国に対し、受け入れの負担を分かち合い、沿岸に到着したロヒンギャを再定住させるよう求めている。(c)AFP