【12月27日 AFP】スウェーデン・ストックホルムでこのほど、1950〜90年代のイケア(Ikea)製品122個の競売が行われ、落札総額は3万7000ユーロ(約580万円)に上った。

 今年で創業80年を迎えるイケアは手頃な価格帯の組み立て式家具で有名だが、近年ではコレクターが増えている。

 競売会社のリ・パンプ(Li Pamp)代表は「競売業界に30年いるが、もし働き始めたばかりの頃に『あなたはいつかイケア製品の競売を取り仕切るだろう』と言われたら『まさか、そんなこと絶対にありえない』と返したと思う」と笑った。

 イケア製品をめぐっては「いろいろな面で賛否両論」あり、流行のデザインを模倣してきた歴史や「環境と持続可能性の問題」で批判されてきたとパンプ氏は指摘した。

 一方で「多くの有名デザイナーが1回はイケアで働いたことがある。そしてその多くにとって、イケアがデザイナーとして初めて働いた会社だった」という。

 競売には家具だけでなく、食器や鏡、照明器具も出品された。

 1972年に120ユーロ(現在のレートで約1万9000円)で販売された赤いソファは、2000ユーロ(約30万円)で落札された。

 今年ストックホルムで行われた別の競売では、1958年の発売当初約27ユーロ(約4200円)のアームチェア「カベッリ(Cavelli)」が1万8000ユーロ(約280万円)で落札された。

 競売前に、展示室を訪れた60代の男性は「子どもの頃は、安い家具が欲しければイケアと決まっていた」「自分で組み立てて、数年使ったら捨てるものだった」と振り返った。「それが80年後の今、美術品、骨董(こっとう)品として競売にかけられているのはとても興味深い」

 イケア誕生の地エルムフルト(Almhult)にあるイケア・ミュージアム(Ikea Museum)の学芸員は「光栄だ。80年をかけて偉大なブランドをつくり上げたことが証明された」と話した。

 一方、人気商品が高額で取引されていることについては、「少し不満だ。私たちはすべての人のために物作りをしているのだから」と述べた。

 ビンテージ調の流行を受け、イケアはこのほど昔の人気デザインをリメークした新コレクションを発表した。キャッチコピーは「未来への回帰」だ。

 競売会社のパンプ氏は、知らずに「お宝」の上に座っている人も多いはずだと指摘する。古いイケア家具を持っている人は古物商に電話して査定を依頼するように提案し「われわれももちろんお手伝いします!」と話した。(c)AFP/Viken KANTARCI