【11月17日 AFP】フランス北西部の街ブレスト(Brest)で、「カンペール」と呼ばれるカタツムリが路面電車の新ルート建設の妨げになっている。

 このカタツムリは生息域がフランス北西部からスペイン北部に限られる希少種で保護されている。同市では現在、路面電車の新ルート予定地沿いに作業員たちが下草をかき分け、カタツムリを一匹ずつ取り除いている。

 同市がある仏西部ブルターニュ(Brittany)地域圏のフィニステール(Finistere)県では、これまでも街の開発や建設計画にこのカタツムリが立ちふさがってきた。

 2012年にはサッカー、フランス・リーグ1のスタッド・ブレスト(Stade Brestois 29)がトレーニングセンターの建設を断念。ガス火力発電所の建設計画に反対する運動家らが抗議行動にカタツムリを参加させようとしたこともある。

 ブレスト市当局は、市内に2本目の路面電車路線を敷設しようとしているが、途中で「カタツムリの生息地をすべて避けることは不可能」だと気付いたという。

 そこでカタツムリが冬眠に入る前の11月中に、雨の日の夜4回にわたって計画ルートからできるだけ多くのカタツムリを移動させることにした。

 先週行われた初の作業では、カタツムリ92匹ともう一つの保護種であるイモリの仲間、ファイアサラマンダー2匹が捕獲され、近くの別の生息地へ運ばれた。工事現場には、カタツムリが戻ってこないよう防水シートが敷かれた。

 環境評価機関ビオトープ(Biotope)の生態学者ティモシー・シェレール氏は「カタツムリを保護することで、生息地自体とそこに住むさまざまな種を保護することにもなる」と説明した。

 工事開始までにはカタツムリ以外にも、ランの花、小鳥、イモリ、コウモリなど沿線に生息する保護種75種が待ち受けている。(c)AFP