【10月16日 AFP】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は15日、イスラエルがイスラム組織ハマス(Hamas)への報復攻撃を開始して以降、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)北部では約100万人のパレスチナ人が家を追われたと報告し、避難民の数はさらに増える恐れがあると警告した。

 ガザを実効支配するハマスは、イスラエルへの越境で民間人を中心に1400人以上を殺害。これに対するイスラエルの報復攻撃では、ガザで民間人に多数の犠牲が出ており、死者は少なくとも2670人に上っている。

 イスラエル軍は、ガザとの境界付近に部隊を配備してガザ北部への地上侵攻に備える一方、ガザの人口約240万人のほぼ半数に当たる110万人が住む北部から、南部に退避するよう住民に呼び掛けている。

 国連(UN)や赤十字国際委員会(ICRC)など国際機関や各国は、イスラエルによる退避勧告を繰り返し非難。

 UNRWAのフィリップ・ラザリニ(Philippe Lazzarini)事務局長は、ガザは封鎖と爆撃によって「人道面で未曽有の大惨事」に直面していると警鐘を鳴らす。

 ガザ北部では数日前から、大勢の市民がスーツケースなどに所持品を入れ、乗用車やロバに引かれた荷車に家財を満載して移動する光景が日常化している。

 南部では、路上も国連が運営する学校も混み合っており、避難民は自分たちで落ち着き先を見つけなければならない状況だ。

 イスラエルはガザへの水や燃料、食料の供給を遮断。病院は死傷者であふれ返っている。

 保健当局による15日の発表では、負傷者は約9600人に上る。

 イスラエルのイスラエル・カッツ(Israel Katz)エネルギー相は同日、ガザ南部への給水を再開したと発表。「これにより、南部への退避が進むだろう」と述べた。

 しかし、ラファ(Rafah)をはじめ南部各地でもイスラエル軍による空爆が続いている。

 停電によって、海水を利用した脱塩浄水場や食品用冷蔵庫、病院の保育器といった生命維持システムもダウンする恐れがある。

 住民は、トイレやシャワーを使えず、洗濯などもほぼできない状態にあると証言する。

 ラファで面識のない人の家に泊めてもらっているという避難民の一人は、「電気も水もなく、インターネットも使えない。人間性が失われていくようだ」と話した。(c)AFP/Mai YAGHI with Jay DESHMUKH in Jerusalem