【11月26日 AFP】世界最大のエビ輸出国、南米エクアドル。世界の食卓に並ぶ甲殻類の5匹に1匹はエクアドル産のエビだ。

 そのエクアドルのエビ養殖業者が今、警備費で数百万ドル規模の出費を余儀なくされている。

「われわれは日々、警察よりも重武装している犯罪者の標的となっている」。そう語るのは、エビの養殖・輸出関連4000業者を束ねる全国水産養殖会議所(CNA)のホセ・アントニオ・カンポサーノ会長だ。

 CNAによると今年1~8月には会員64業者が、海上あるいは陸上輸送ルート上で強盗などの被害に遭っている。死傷者が出たケースもあった。

 グアヤキル(Guayaquil)湾プエルトロマ(Puerto Roma)では出航しようとしていたエビ業者6人が、武装集団に至近距離から銃撃され、積み荷を盗まれた。一団はスピードボートで走り去ったという。

 被害に遭った業者たちは、グアヤス(Guayas)州の州都グアヤキルの港の波止場に血まみれでたどり着いた。

 他にもエビの輸送トラックが高速道路で武装集団に乗っ取られ、運転手が重傷を負う事件もあった。

 CNAによると、養殖場自体も強盗の被害に遭っている。

 エビ養殖地となっているグアヤキル近郊プナ(Puna)島の漁師(51)は「商品を陸へ揚げるときには襲撃に備えて、危険な場所を避けている」と語った。「海軍も巡回しているが、養殖場の近くまでは来ない」と言う。

 海軍職員はAFPに対し、安全上の理由から巡回に同行させることはできないと述べた。

 カンポサーノ氏によるとグアヤキル湾のプンタロマや、エビを包装工場に運ぶ沿岸道路などは襲撃が多い「危険ゾーン」で、CNAではレーダーや独自の技術を使って情報を集め、警察に伝えている。

 だが地域によっては、治安部隊がまったくいない「無法地帯」だという。

 グアヤス州でエビ養殖場を経営するクレベル・シゲンサ氏は、麻薬ギャングが縄張りとする地域で6月に同僚が誘拐された事件を受けて警備員を雇い、ビデオ監視システムを導入したと語った。

 CNAの推計によると、会員全体で今年だけですでに1億ドル(約150億円)を警備に費やしている。

 隣接するエルオロ(El Oro)州のエビ生産者組合のエディソン・ブリト会長によると、犯罪組織は「用心棒代」と称して会員から金銭を巻き上げている。「海軍の支援がないので受け入れるしかない。金を払うしかない」 (c)AFP