【10月5日 AFP】カトリック教徒が大半を占めるフィリピンで4日、イエス・キリストを取り上げ、「主の祈り」を朗読するパフォーマンスをしたとして、ドラァグクイーンが逮捕された。パフォーマンスをめぐっては、批判の声が上がっていた。

 逮捕されたのは「プカ・ルカ・ベガ(Pura Luka Vega)」の名で知られるアマデウス・フェルナンド・パヘンテ(Amadeus Fernando Pagente)容疑者(33)で、7月に行ったショーが問題とされた。

 ショーの動画がインターネットで拡散すると、神への冒涜(ぼうとく)だとの非難され、複数の自治体がパヘンテ容疑者に対し「ペルソナノングラータ(好ましくない人物)」を通告した。

 マニラ警察が提供した逮捕状の写しによると、パヘンテ容疑者は「不道徳な教義、わいせつな出版物や展示、わいせつなショー」を行った疑いがかけれられている。

 パーティー客を前に、宗教的な歌に合わせて歌い踊り、腰を激しく振るなどのパフォーマンスをしたとして、複数のキリスト教団体に訴えられた。

 マニラで勾留中のパヘンテ容疑者はAFPに「何も間違ったことはしていない」とし、今回の逮捕は同国の「同性愛者嫌悪の強さ」を浮き彫りにしたと強調した。

 逮捕前、パヘンテ容疑者は自分のパフォーマンスは「アート」であり、「ドラァグ(女装)は犯罪ではない」と主張していた。

 LGBTQ団体バハグハリ(Bahaghari)のレイナ・バルモレス氏は「異性愛者のパフォーマー」もキリストをばかにする発言をしていると指摘し、当局の二重規範を非難した。

「性的少数者コミュニティーに属する人に対する、明確な嫌がらせの一種だと認識している。こうしたことは珍しくない」と述べた。

 フィリピン社会は極めて保守的で、人口の約8割をカトリック教徒が占める。同性婚や離婚、中絶は違法となっている。(c)AFP