【10月3日 AFP】ラグビーW杯フランス大会(Rugby World Cup 2023)に出場している日本代表の長谷川慎(Shin Hasegawa)アシスタントコーチは2日、チームが準々決勝進出まであと1勝と迫っている大きな要因について、ジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)ヘッドコーチ(HC)が仕事分担やコミュニケーション能力において進化していることが挙げられると分析した。

 プールDではすでにイングランドの首位突破が確定しており、次いで日本とアルゼンチンが勝ち点9で並んでいる。ブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)は、8日にナント(Nantes)で行われるプール最終戦でアルゼンチンに勝利すれば、2大会連続のベスト8入りが決まる。

 スクラム担当コーチを務める長谷川氏はこの日、記者会見に臨み、現役時代にニュージーランドと日本の代表チームでプレーし、2016年に日本代表の指揮官に就任したジョセフHCについて、自分の役割に慣れるまで時間がかかったと振り返った。

「ジェイミーは8年間で大きく変わった。最初の頃は、選手にもコーチにも説明しないでいきなり練習を始めることがよくあった。日本人選手は説明を受けるとしっかり動ける。ただ、何かがわからないと『なぜ』が先に立ってうまくいかなかった」

 しかし、ジョセフHCが自身の経験から発見をしてきたことで、チームを活性化する力が完全に変わったという。今では物事を決めるとき、コーチよりも選手たちに任せられているといい、大事なことはジョセフHCが決めているものの、長谷川コーチは「役割分担、責任の配分は、いいチームになってきたなと思う」と語った。

 ジョセフHCとは日本代表チームで一緒にプレーするなど長年の間柄である長谷川コーチは、「8年もやっていると、こんなこと考えているなというのが分かるし、他のコーチも分かる人間は分かる」と明かし、「僕、ジェイミー、他のスタッフが、選手から誤解されていることはほとんどなくなっているんじゃないか」と話した。

 また、誤解があれば素直に(通訳を交えて)3人で話し合っているといい、「対等ないい人間関係を全員がつくれている」と語った。

 現役時代にはPRとしてプレーしていた長谷川コーチは、ロス・プーマス(Los Pumas、アルゼンチン代表の愛称)がスクラムに定評があるとはいえ、日本チームがそれを上回ることは可能だと確信している。

 1999年のW杯でアルゼンチンと対戦した経験がある長谷川コーチは、「(相手の強さに圧倒されていた以前とは)イメージが全く違う」とコメント。「アルゼンチン代表の強さ、うまさ、重さは、今の日本代表なら消せると思う」と自信を示し、「自分たちの土俵で(スクラムを)組めるような練習をしている」と述べた。(c)AFP