【9月30日 AFP】フィリピンの首都マニラ。オフィスビルの外で待機中の警備員たちの横を、黒と黄色の安全ベストを着た1匹の猫が平然と歩いて行く。

「コナン」は生後6か月の雄の野良猫だ。数か月前、マニラ首都圏にあるワールドワイドコーポレートセンター(Worldwide Corporate Center)の警備チームに加わった。

 猫は警備犬とは異なり、仕事中に寝てしまうこともあるが、12時間勤務で退屈そうな警備員たちにかわいがられている。

 前任の「ミンミン」が死んだ後、警備員たちは悲しみに暮れ、ビルの駐車場で泣いているところを発見されたコナンが後任に任命された。

「コナンがいないと、やる気が出ない」と警備員の一人(30)はAFPに語った。「ストレスを解消してくれる」

 コナンが「警備」と書かれたベストを着用し、机の上に横たわっている写真は、フェイスブックで多数シェアされている。

 マニラの商業施設や企業ビルでは、野良猫が十数匹飼われている。猫たちは、こうしたビルの中で自由な移動を許され、餌は従業員の寄付で賄われている

 野良猫としては申し分のない生活を送っているにもかかわらず、コナンはビルに入ってくる買い物客や従業員の所持品検査など、人間の警備員仲間の仕事を手伝うことにはほとんど興味を示さない。

 近くのスターバックス(Starbucks)の店舗の前で寝るか、タイル張りの床でボールを追い掛け、通行人を喜ばせている。

「コナンなりにこの仕事を楽しんでいる」と警備員は話した。(c)AFP